不変と残愛

私の心を刺したあの瞬間は今でも私の心を刺している。


どれだけデパコス買ったとしても。

カラオケで歌いまくったとしても。

友達と毎日遊びに行っても。

大好きなケーキを食べまくっても。

あの傷はこの6ヶ月間消えることはなかった。


自分を大事にしないといけない。

そう思える日もある。精神的に成長したのは確かだ。だけど、私が紡ぐその言葉の奥底には、時々、妥協と皮肉がこもっていた。


この6ヶ月間、別れたあの彼とはSNSが繋がったまま。

ーシャットダウンできなかったのは私の弱さなのだろうか。

ーそれとももしかしたら。

なんで考えら日もあったのも正直なところ。

SNSを見るたびに目に入る彼のキラキラとした生活。交友関係。時に女の人は女の人の影もあった。


ーなんであんな奴が充実してんだよ。

自分へのやるせなさが苛立ちへ。


きっとこうして今でも腹を立てたり、あの日を思い出すのは私だけなんだろう。

そうとしか思えない。


23時。彼の好きな曲を聴いてしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ー俺の何がいけなかったんだろう。


ーなんで急に別れるって言われたんだろう。


ー最後に愛を確かめられたのはなんだったのか。


あの瞬間、俺の心は壊れた時計と同様。


「私のこと好き?」って聞かれた時、

つい無言になってしまった。

あまりにも急で、この先に来るであろう「別れよう」の魔の4文字も咄嗟に察してしまったからだ。


そして俺が1番恐れていた魔の4文字が、携帯越しに23時の電波と一緒に俺の元に。


泣いて泣いて、泣いた。

「待っていて」なんて言って、どうせ許してくれるだろうとかいう彼女の優しさに甘えなければよかった。


ー俺は今でも。






(続く)






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