第137話 開戦
元レプリコンの領域には、稼働が停止していたゲートウェイが存在し、ここからラドン連邦の首都星系を強襲出来るためシレーネ星系等のゲートウェイがある星系の確保は必要なくなった。
まあヒノマルサイクツ最大の顧客であるシンカー解放戦線やパラディ社からゲートウェイを奪うのは難しいし、その手間がなくなったのは大きい。最近パラディ社も徐々にヴォート帝国へ吸収されるというムーブしているけど。まあラドン連邦と継続していた戦争が終わった以上、ヴォート帝国側としてはパラディ社という存在が用済みだったのかもしれない。ヴォート帝国視点面倒な勢力が北に増えた感覚だろうし。
一先ずラドン連邦から宣戦布告されるために、ラドン連邦の設計図で作った軍艦の数々を全銀河に披露。あとは再生金属で作った巨大戦艦とかもお披露目して、軍事力をアピールする。当然、ラドン連邦の企業群からライセンス料云々の話が出るけどガン無視。そうすると、ラドン連邦の議会は開戦寄りに傾く。
……ラドン連邦の議員って、ラドン連邦の企業から支援を受けている議員が多いから、企業からの怒りを買うのが一番手っ取り早いんだよね。また、テラニドカンパニーもラドン連邦の戦争が片付いてしまって戦闘機やら船体部品やらが売れない状況を脱したいため、テラニド人民党も開戦派を支持。
こうなると、開戦を止められないのがラドン連邦の弱いところだな。まあこんなんだからパラディ社と延々殴り合いしていたんだろうけど。レイがラドン連邦の議会のカメラに接続して、様子を確認していると投票で開戦するかしないか決めてた。
そして、開戦派が303票を獲得して無事開戦が決定。宣戦布告のタイミングは新暦2028年11月30日午前12時00分ね。じゃあそのタイミングで隕石するか。
『……ヴォート帝国とシンカー共同体、テラニド帝国、パラディ社、サイゴート共和国も同タイミングで宣戦布告予定だそうです』
「えっ」
『あと3日で世界の敵ですね』
「……ヒノマルサイクツから世界が孤立してるな」
そんな風に考えていたらシンカー解放戦線以外の国々がラドン連邦と同タイミングで粗方宣戦布告をしてくると情報掴んだのでたぶんこの1戦で今後の銀河が決まる。……もうこれ初手隕石躊躇ってる暇ないな。少なくともラドン連邦は初手で退場させないと自分達が死ぬ。
「……ラドンⅠ、ラドンⅡの両方とステーション、あとは戦艦群に対して一気に攻撃を仕掛けるけど準備は出来てるか?」
『既にシルフィさんが射出上に巨大な小惑星をセットしています。……一気に射出するのは難しいので、恐らく10分間隔で射出することになりますね』
「あー。まあゲートウェイは一瞬だけ繋げるという芸当も出来るし、初手でラドンⅠを破壊すれば各ステーションからの避難も間に合わないだろうから何とかなるな」
『より効率良く破壊するのであれば、ラドンⅠの次は防衛プラットフォームの殲滅をオススメします』
銀河の行く末を決める大戦争で、まず最初に活躍するのが投石機なの本当に笑えるし質量はやっぱり正義。アインシュタインの予言は半分当たったな。核戦争で地球上の人類の大半が死んだ後の大戦争は、石と棍棒によって戦われるだろう、だっけ?その石のサイズがちょっとだけ大きいけど、まあ的中してる。
……シールドで小惑星を阻めないのは意外だったので、ヒノマルサイクツの研究班には対質量兵器の開発を進めさせているけどたぶん完璧に防ぐためにはブラックホールを発生させる感じになるんだよな。ちょっとミスれば自分達にも被害出るし、やっぱり投石機強いわ。
『ハイパーレーン投石機、設置完了です』
「シルフィは12時ジャストになって小惑星が射出されたら、即座にレイから指示されるポイントにハイパーレーン投石機を移動させてくれ。ラドンⅠ、戦艦群、防衛プラットフォームⅡ、防衛プラットフォームⅢ、官僚ステーションⅠ、防衛プラットフォームⅠの順で破壊したらイザベラの隊と一緒に突入な」
『……発射のボタンは、アキラが押すです?』
「当然。別に犯罪者とかに押させても良いけど、やっぱり自分の手で推したいわ」
ハイパーレーンの加速を利用した投石機は、ゲートウェイの前にセットされ、いつでも射出出来るようになった。あとは宣戦布告のタイミングである12時ジャストにゲートウェイが開通するため、自分が小惑星をラドンⅠに撃ち込むだけ。
「……にしても情報漏れないな。誰か1人ぐらい裏切ってくれても良かったのに」
「いや無理でしょ……。そもそも、分かっていても防げない類の攻撃だよねこれ」
「まああと数日というタイミングで回避出来る手段はない。宣戦布告しないという手はあるけど……その時はこちらから宣戦布告するから大丈夫」
案の定世界が敵になったけど、たぶん小惑星パンチした時点で世界から宣戦布告されるのは分かっていたから大した問題ではない。やっぱり圧倒的な力を持ったら、その力に酔いしれて、力に溺れてみたい。そして大概こういう存在は足元を掬われるんだけど、残念ながら新暦2028年11月30日午前12時00分。地獄の釜の蓋は開いた。
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