第136話 詐欺
『マッチングアプリの運営会社でサクラを利用した詐欺行為を確認出来ました』
「……被害の規模と被害額を教えてくれ」
『こちらです』
「うわ、数百万人単位かよ。被害額は結構だなこれ。協力している奴らは……特定の星系に固まってるから口コミで広がったのかな」
今日も今日とて空母の中でのんびりしていると、マッチングアプリによる不正行為が発覚した。……この世界って結構結婚する人多いし、出生率は2を超えている。独身もそれなりにいるけど、そもそも寿命が長いから、一度は結婚するという感じの文化になっている。
出生率自体が2を維持出来ている最大の理由は、出産が楽になっていることと、現代日本と比較して明らかに男女の性差について言及する人が少ないからだろう。あとはまあ人間の文化侵略している獣人の存在と、一夫多妻制が普通だからとりあえず人口は増え続ける感じ。
優秀な精子買って出産して1人で育てる母親とかも多いしね。新暦の2000年の間に、ラドン連邦は人口が数十億人から1兆を超えるほどの人口爆発をしているけど、それなりに理由があってのことだ。
そして結婚しようと思い立った男女が、真っ先に手を伸ばすのがマッチングアプリとなり、一応ヒノマルサイクツからも国として公式のマッチングアプリを出しているが、マッチングアプリは企業ごとにわりと特色が出るから色んな企業から出ている。その内の1つで、サクラを利用した詐欺が横行したって感じ。
企業の出すマッチングアプリはどこも基本的に登録料と毎月の使用料が必要となる。そこでイケメンや美女を雇って、長くマッチングアプリ上で付き合って最終的には破局することで、長く使用料を吸い取る感じだった。まあ昔からよくある手法だな。何なら現代日本でよく見た光景。
なんかマッチングアプリ上で1000股している女性とかいて怖くなったよ。一応実在している女性だし、返答は遅いけど本人がしているから詐欺じゃないと言い逃れする算段だろう。……本人が、マッチングアプリの運営会社から金銭を貰っていなければ通じたわ。
「このマッチングアプリの運営会社のアプリ、顧客はヒノマルサイクツが吸収。社長は3000万クレジット、管理職は500万クレジットの納税と無償での強制治験協力3年ね。一般社員も意図的に加担していたなら財産5割没収しておこうか。加担してなかったら気付かなかった罪で1割没収。あとサクラに協力した側の人間は全員300万クレジットの納税。足りなかったら治験協力で金稼げって感じで」
『治験のグレードはどうします?』
「危険度は中程度で。運が良ければ何もないでしょ」
とりあえず罰金は適当に決めて、裁判所に妥当か投げるけど最近サボり気味なのかほぼ妥当という回答しか返って来ないからまあ独裁国家の悪影響は出ている。強制治験は最初の頃、強制労働にしようと思ったけどそもそも都合の良い強制労働の枠がないから治験協力という形にしている。
何だかんだで、開発費が高騰し過ぎていて開発が進まないような薬って多いからね。そしてそういうので、一番お金がかかるのは治験。どんなに高性能な機械でも、実際に人に使用するのとは勝手が違うらしいし、治験によって得られることは多い。
治験に対し、犯罪者を使うことに関してヒノマルサイクツ内で文句の声は特にない。薬代安くなるし、開発費抑えられるし、良いこと尽くし。なおラドン連邦やヴォート帝国からは犯罪者に対する人権の云々で文句を言われている。
……まあ、ぶっちゃけると人体実験だしな。しかしヒノマルサイクツ内では治験で稼いでいる一般人が結構いる。人口だけは無駄に多いし、医学の発展は近年著しいらしいので素直に良い事かな。
この国に死刑はない。死刑の代わりに、危険度が高い治験に長期間突っ込ませる。技術の進歩、発展に犠牲は付き物だ。それならこちらから犠牲を捧げれば、技術の進歩、発展に繋がる。
『……すぐにもっと厳罰化するべきとの回答が出ましたがどうします?フィアさん呼びましょうか?』
「ラドン連邦だとどのぐらいの罰金や懲役になる?」
『一応特殊詐欺の分類に入るため、15年以下の懲役に処するとなっています。過去の同様の事例では懲役10年と懲役12年の判例がありますね』
「……ええー、社長と管理職の強制治験は5年に伸ばすか。あと罰金を倍額にしよう」
『ではそれでもう一度投げましょう。
……まだ少ないけど概ね妥当とのことです』
「じゃあもうそれで。
今日はこれだけ?」
「これだけです」
大雑把だけど、事件発覚から僅か半日で判決が出る辺りはメリットじゃないかな。マッチングアプリの運営会社の幹部達は、5年間病院で治験塗れの缶詰生活を送ることになりそう。危険度中はわりと危ない薬も多いし、わざと太らされたり痩せさせられたりするので精神を病む人も多い。
あとマッチングアプリ本体はヒノマルサイクツが再利用する形に。UI切り替え機能つけてこのマッチングアプリと連携するようにしよう。顧客は結構多いし、良い収入源が増えたな。
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