第133話 独立
ラドン連邦とヴォート帝国間で和平が成立。ヒノマルサイクツは独立させられ、ヴォート帝国は幾ばくかの賠償金をラドン連邦に支払うこととなった。相互に要求呑んでるのは珍しい形の和平というか出来レース。
これにより、ラドン連邦の庇護を受けられなくなったのだが特に宣戦布告してくる勢力はいない。ヴォート帝国とかヒノマルサイクツを攻撃したくて独立させたんだと思うけど、ラドン連邦との戦争中に受けたダメージが思いのほか大きかったらしく躊躇している様子。
「結局ラドン連邦の次回選挙には介入出来なかったな。
まあ再分配党への支援は続けるか。まだ国境封鎖受けてないし」
「今までラドン連邦は稀人からの恩恵が大きかったし、まだ本気でラドン連邦相手に戦争する勢力だとは思ってないんじゃない?
……というか、本当に開戦するの?」
「準備自体は整ってるけど、極力こちらの被害が少なくなるタイミングで宣戦布告するよ。
どちらかというと向こうから宣戦布告させたいけど」
「……向こうから宣戦布告させるなら、相当な挑発行動が必要そうだね」
この間に例の再生金属の試作品が出来、無事その力を発揮したので量産することに。生産方法はレイがちょっと改良したので、たぶん2年ぐらいで戦艦は生産出来る。……これ、金属というよりかは生物の方が近いんだよな。生きている金属というのがベストか。
まあテドムシが滅茶苦茶硬い生物だし金属食べたら装甲が回復していくので、それの延長戦上にあるんだけどそれを過去の地球が作っていたのは凄い。……このインゴットの状態で生きているって、どういう状態なんだとは突っ込みたくはなる。
レプリコンの領域の惑星をどんどんこの再生金属生産工場へと変えていき、有り余る人的資源を使用して量産を進めているけど同時並行で戦艦4隻建造が限界かな。……まあ艦隊4つあるから丁度良いか。
「ゲートウェイって運動エネルギーがそのまま保存されるよな?」
『されますね。光速で突入すれば光速で出て行きます』
「……かなりデカいし、小惑星突っ込んでラドン連邦の首都星落とせない?」
「……小惑星って、どの規模?」
「大型採掘船で砕くような小惑星。直径1000キロサイズなら入るだろあれ」
「そのサイズをぶつけるってことは惑星ごと破壊するつもりだね!?」
ゲートウェイは、かなり巨大な施設であり、入り口は相当広い。守る戦艦20隻が米粒サイズに見えるぐらいには大きいから、たぶんそれなりの規模の小惑星までなら入るし移送出来る。
……ゲートウェイとラドンⅠ、ラドンⅡの距離自体はかなり近いこともあるため、小惑星を高速で曳航し、ゲートウェイに放り込めば敵首都惑星に小惑星が激突するはず。ラドン連邦の現支配層は戦争後の統治の際に絶対邪魔になるし、可能であれば戦争中に亡き者にしておきたいので初手隕石がベストな気がする。
『ラドン連邦の首都星系の防衛施設の数を考えると……直径330キロの岩石で出来た小惑星が秒速10万キロ以上の速度でゲートウェイから射出された場合にシールドが保てず、迎撃システムを封殺して惑星崩壊に繋がる致命的なダメージが入ります』
「よっしゃそれで行こう」
「それで行こうじゃないよ!ラドン連邦の首都星、ラドンⅠの人口理解してる!?」
「ラドン連邦の中枢にして上流階級、支配階級の人間が100億人以上いることは理解してる」
日本における東京かと突っ込みたくなるぐらいには、ラドン連邦の政府機関や主要企業の本社、上流階級の人間がラドンⅠには集っている。首都に一極集中するのは珍しくないというか、宇宙規模だとそうなるのも当然なんだけど、明確な弱点だな。
ラドンⅡの方も人口は多いけど、こっちはあくまで食料惑星なので人口はあまり多くない。まあラドンⅠへ行くのに宇宙を挟む必要があるなら、隣接する星系と土地的な価値は変わらないわな。
後は、官僚達が集まるステーションなんかも多いしこちらも可能ならば先制攻撃したいところ。……ステーションは定位置にあるし、狙いやすいんだけどちょっと距離があるな。
一応、隕石を迎撃するシステムなんかもラドンⅠは備えているそうだけど、隕石より速い速度で飛ばせば迎撃システムの半数は効力が無くなるようだし、ゲートウェイからの距離が比較的短いので駐屯している戦艦達でもわりとどうしようもない。
首都急襲の際、防衛している戦艦群の拿捕はしたいけど欲張って移乗攻撃部隊が全滅したら悲しいので首都星系では拿捕を見送る予定。まあ戦艦の他にも防衛プラットフォームがアホほどあるので星系自体は滅茶苦茶硬い。ゲートウェイから侵入出来ないなら攻略を諦めるぐらいには硬い。
……でもまあ、首都星であるラドンⅠが完全に壊滅した後なら指示系統が麻痺しているはずなので楽に叩けるはず。脳が死ねば身体は動かなくなるし、早期和平か徹底抗戦の二択でどちらを選ぶかは分からないけど、こちらの被害は殊更少なくなりそう。
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