第129話 遺失技術
海底にあった地球の施設の探索を開始するが、カジノっぽい場所も残っているしアンドロイド達がある程度は整備していたみたいだな。アンドロイド達が稼働限界を迎えた後は放置されているけど。
レイによると恐ろしいぐらいの耐震性能があるようで、流石に地震で壊滅するというようなことは無かったようだ。……いやでも地上から逃れた後に、地上に出られなくなったのは何でだ?放射能汚染は、除染出来る。地上がすっからかんになった後なら飛び出しても良かった気がするんだけど。
大量のアンドロイドは、レイのような完璧に何処からどう見ても人間、というわけじゃなくて特に顔は機械であることが分かるような縦線なんかが入っている。……あえて機械だと、一目で分かる構造になってるな。
AIとしては結構レベルが高かったらしく、人類が滅亡してからもある程度は自己管理出来ていたらしい。生活を支えてくれる存在も居たなら、じゃあ何で滅んだんだ。
「あー、そう言えば潜水艦がなかったのはおかしいのか。
ここから出た人もいたのかな」
「確かに、格納する場所が空だったからすんなり入れたもんね。
……飛び出した人が居て、帰って来なかったからここから出られなくなったのかな」
「レイさんのマップには簡易的な造船スペースもありますから、完全に詰むことはなかったと思いますが……」
「造船スペースは岩盤が崩落したのか潰れてるけどな。緊急時用のシャッターが閉まったままだ」
廃墟を探索するのは、結構楽しい。命の危険がある場所ではあるけど、人の気配はないし、アンドロイド達も耐用年数を大幅に超えており、機能停止している。腐敗はしてないけど。
『日記を付けていた人が居たみたいなので、それをご覧になりますか?』
「先にレイが読んで情報抜粋出来る?」
『分かりました。
……どうやら最後に残ってしまった1人はアンドロイド達の快楽に溺れて死に絶えたみたいですね。あと、ほとんどの人間が40歳以下で死んでいます。データを見る限り恐らくは糖尿病の類かと』
「運動用の施設もあったのに生活習慣病の類で死んでいるとか結構アレだな。
そして最後の1人は、流石に日記付けていたか」
『ほとんどプレイ日記なんですけど。
うわあ……何この内容』
「あとでそいつの日記だけプリーズ。
たぶん映像記録も残ってるから貰おう」
レイがこの施設のデータベースから、日記を引っ張りだしたが最後の1人はアンドロイド達に囲まれて逝ったみたいだ。いや別の意味でもイってたみたいだけど。精液の保管場所がいっぱいなのはその最後の1人の子種かよ。全部死滅して内部で腐敗してるみたいだけど。開封したくないわあ。
あとは、初期は内乱が起こったり、狂った人が殺人を繰り返したり、酸素供給装置が止まったりとわりととんでもない事件がアホほど起きている。人が3人居れば派閥が出来るんだし、1000人もいればぐっちゃぐちゃだっただろうな。
地上で争って地下に逃げたのに、その地下でも争いが原因で滅びるとか人類が愚か過ぎる。よくラドン連邦はあそこまで協調して大きくなったよ。まあラドン連邦も、初期の頃は絶対的なリーダーのお蔭で発展してた節があるんだけど。
「……ここが最奥にある保管庫、か。
データベースの方は全部サルベージできた?」
『はい。一応、過去の地球の技術は粗方回収しましたが……今の我々で役に立ちそうなのはあまりありませんでした。
しかしながら1つだけ。その保管庫に再生金属が眠っているそうです』
「再生金属って何?幾らでも再利用できるとか?」
『いえ、文献では特定の形になるまで自己増殖する機械、とのことです』
「過去の地球にそんなのあったの!?……あったら艦船の装甲にすぐ採用するでしょ?」
「……ラドン連邦が成立した頃、どうしても地球の技術の中に再現が出来なかったものがあるとは聞いています。たぶん、その類の技術かと」
データベースの方はレイがデータを丸ごと回収したので、あとでいつでも回覧は可能。そして海底施設の最奥には保管庫という部屋があり、この海底施設の研究所が研究を続けた産物である再生金属というものが眠っているらしい。
……何かある気配を察知してこの施設に入ったんだけど、再生金属かあ。レイから送られたデータファイルを見る限り、艦船の装甲が勝手に回復する類のものらしい。ただ、過去の地球でこれを量産するのは難しかったようで、量産化の研究をここでやっていたようだ。
過去の日本の変態科学者達が地上でハルマゲドンやってる最中に必死に開発した夢の装甲ってところかな。……なるほど。作るのにある程度の水圧が必要になってくるのか。そりゃ海底の施設は好都合だっただろうな。
保管庫を開けると、その再生金属はインゴットのような形で鎮座しており、データベースの奥底には加工方法とか生産方法まで書かれてあるので、ここに来た甲斐はあったな。この金属を戦艦や空母の装甲を作れるぐらいまで量産出来れば、スペック見る限りだと無敵の艦隊になりそうな気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます