第130話 再生金属
海底の地下施設で再生金属なるものを回収出来たので、一先ず実験してみる。作り方はレイが解析したため、万が一この現物を破壊しても何とかなるしそもそも現物は2個あるから1個は壊してみても良いだろう。
「なんか武器持ってる?」
「レーザー銃であれば持ってますよ。大口径の方で攻撃してみますね」
「イザベラ頼む。
……2つ銃を持ち歩いてるの?」
「いつも2丁ですね」
「冒険者だと持ち歩くのが普通というかアキラは何で武器持ってきてないの……」
「いやだって戦闘機で探索する予定だったし……いざとなればフィアが守ってくれるでしょ」
「そりゃ守るけど……そう言えば銃の成績も最低ランクだったわね」
「現実で銃持つと手が震えるしそもそもまともに当たらないぞ」
武器を誰か持って来てるかなと思って聞くと、イザベラさんが当たり前のように銃を2丁持っていたので大口径の方のレーザー銃で再生金属を撃ち抜いてもらう。対シールドを想定している銃のため、それなりの威力が出るそうでちょっと身構えていたら閃光が再生金属の方を貫いた。
……貫いたように見えたが、実際は表面の装甲を薄く削っただけで、しかも仕様書通りに凹み部分もみるみるうちに回復して元通りとなる。何だコイツ。消費する資材すらないとか明らかに物理法則に喧嘩売ってるんだけど。
「……一応これ、貧弱な戦闘機の装甲なら貫ける代物なんですけど」
「1発使い切りタイプの奴だよね。
……それで貫けないの何で?」
「しかも回復まで10秒もかからなかったとかマジか」
『実際には衝撃を受けてから5秒で再生が開始し、7秒時点で元通りですね』
どうやら思っていた以上の装甲のようで、これを量産化出来れば末恐ろしい戦闘機や軍艦が完成するだろう。しかしながら現状では人手をかけて生産するしかないようで……いや人手なら大量にあるな。過去の地球では2100年以降、新暦に入るまであまり人口が増えなかったみたいだから効率の良い生産方法を模索していたんだろうけど、非効率でも生産が出来るならそれで良い。
『このブロック1つ作るのにもかなり時間がかかるので……インバー星系の住民をフル活用しても、戦艦1隻分の装甲となれば2年はかかりますよ』
「そこから加工する手間暇考えたら1隻3年はかかるな。
……それでもこれで作りたいぐらいには魅力的だわ」
「接合する時の専用の薬品で溶かさないといけないようですし……この薬品を使っても、表面が薄く溶けるだけですか」
「しかも10秒以内にくっつけないと元に戻っちゃう。加工はこれ相当難しそうだよ」
……ただまあ、滅茶苦茶手間暇がかかるので効率化してから実生産ラインに乗せたかったのは分かる。というかマジでこれ何で出来ているんだ。金属で出来た生命体っぽい感じではあるんだけど、見た目はただの鉄の塊なんだよなあ。
とりあえずこれで、施設は全て見て回ったので一度帰還するか。最後に食糧庫にあった缶詰やお酒を幾つかパクって戦闘機に乗り込む。……缶詰って理論上何年経っても大丈夫なんだっけ?2000年前の缶詰ってコレクターとかに売れない?
「……海底に眠っていたお酒って幾らになるんだろ?」
「理論上海底は地上の10倍の速度で熟成が進むはずだから……熟成2万年?」
『恐らく、お酒に関してはかなりの値段になるかと。古いお酒だと新暦78年のお酒が数百万クレジットで取引されています』
「よっしゃ飲んだろ」
「わー!下手したら1本1000万クレジットにはなるんだよそれ!?」
そして思っていた以上に、古いお酒の価値が高いので海底遺跡のお酒は全部回収していくか。……いや、1ケースぐらいは残して行こう。戦闘機から空母に戻ったら、開封したお酒が飲めるものか検査して貰って、飲んで大丈夫という判断をレイが下したので試飲。
「……泡盛はあまり飲んだことないんだけど、熟成されすぎているのかあまりおいしくないな」
「2万年だからね……んー、いつも飲んでる奴の方が正直……」
『社長が知ってるお酒だから開封しました?データベースの方によると20世紀から売られている銘柄のようですが』
「一応名前だけは。飲んだことは無かったけど良いお酒だったってことは知ってるよ」
飲んだ感想としては本来よりも薄味になっているのか、雑味が増え過ぎているのか、美味しくもなく不味くもないという微妙なライン。確か高級なお酒だったと思うんだけど、実質2万年熟成は長すぎたな。というかよくケースが無事だったわ。
まあ4ケース分持ち帰ったし、1ケース分だけ残して後は売ろう。……いやでも売る時に地球に立ち入ったこと話さないといけないな。面倒だから売るのは征服後で良いか。
それよりも、再生金属の方が重要だ。上手くこれで戦艦や空母を作ることが出来れば、相当な戦力になるだろう。……ゲートウェイを自由に行き来出来る時点でこれ以上の戦力増強が必要なのか疑問ではあるけど、自分の居住空間をより頑強にするのは間違いではない。
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