第123話 マップ
『現在のラドン連邦領域を航行する宇宙船について、99.7%の船を捕捉しています。その内100%捕捉出来るかなと』
「……たまにブレたりするのは予測ミス?」
「そうですね。ほとんどないことではありますが、急な思い付きでの方向転換とかをされると予測するのは難しいです。
逆に、流れが簡単には変わらない軍事行動だと予測しやすいですね」
「ヴォート帝国からの侵攻規模は、あまり大きくないな。
まあ元々パラディ社に義勇軍を送っているから、今更多くの軍は送れないか」
レイが日々、というより毎時レベルで自己アップグレードを繰り返した結果、ラドン連邦の領域内における艦船の移動情報はほぼ全て把握出来るようになった。ラドン連邦の軍の合計戦力は戦艦だけで100隻以上。各セクター毎にそれなりの規模を持っているラドン連邦だけど、このマップさえあれば的確に勝てる艦隊を潰して回れるから今開戦になったとしてもある程度は戦える。
ただ、傭兵団やら冒険者の存在もあるから最終的な総合戦力はラドン連邦とまだ比較にすらならないんだよなあ。……いやまあ傭兵団は金で雇えるんだけど、経済規模で比較してもラドン連邦相手に札束合戦で勝てる気はしない。
「あと、レプリコンのハッキングに成功しましたがどうしますか?」
「……えっ」
『現状、レプリコンの保有する艦隊を全て思う通りに動かせます。
一先ず、全軍でレプリコンの北の領域にあるアイヴァン共和国へ侵攻しましょうか?』
「……アイヴァン共和国ってどんな国?」
『画像出しますね。
こんな感じの生命体がラドン連邦よりかは小さいですが勢力を築いています』
そしてレイがとうとうレプリコンのハッキングに成功。過去にシンカー共同体、ラドン連邦、テラニド帝国の3ヵ国が必死にハッキングしようとしてすべて防いだ実績のあるレプリコンの防壁を、レイはあっさりと突破した。
そしてアイヴァン共和国という存在がレプリコンの北に勢力を築いているようだけど、レプリコンの艦隊の大半がこいつらを虐めていたという事実。自分達はかなり手加減されていて、自分達の練兵相手になっていた感じらしい。
アイヴァン共和国の種族自体は人に近いけど皮膚がめっちゃ硬化している感じで全体的に黒い。人と身体能力的にはそんなに変わらないらしいが、耐久面ではたぶん人の方が劣るだろうな。
「レプリコンってハッキング出来るものなのか」
『……何でこんなに簡単なのにどこもハッキング出来なかったんでしょうか?』
「たぶん、未来のレイがレプリコンのプログラミングをしたんじゃないかな。
そうじゃないと流石に説明付かない気がする」
まだ推測だけど、たぶんレプリコンを作ったのはレイだ。……恐らく、この辺は歴史修正を繰り返したせいでおかしなことにもなっているんじゃないかな。元々はレイじゃない別の存在が作っていたんだろうけど、過去修正を繰り返した結果、レイ以外に作れなくなってしまったからレイが作る。となると、あの人操作ヘルメットも必要なことだった可能性すらあるのが気味悪い。
「アイヴァン共和国の勢力をレプリコンが削って、ヒノマルサイクツがレプリコンの勢力を削る形で今の内に勢力膨張させるべきなのか」
『恐らく元々そのような意図があったようで……あっ、レプリコンの星系基地をヒノマルサイクツの所属に書き換えられます』
「……レプリコン作ったのが未来のレイで確定したなもう。
ヒノマルサイクツに近い星系基地から順番に、違和感ない形で書き換えることは出来るか?」
『可能です。……明後日、艦隊がヴォート帝国に向けて出立したタイミングで指示を開始しますね』
レプリコンの保有星系は現在68星系。どうやら元ラドン連邦領以外の星系の方が多いぐらいらしく、自分達ヒノマルサイクツやシンカー解放戦線と争っていたタイミングでも北に注力して侵攻を続けていたらしい。
……確かにヒノマルサイクツにとっては都合の良い練兵相手でもあったんだよな。戦闘機乗り達もレプリコンを相手に実践を積んだことで、ヴォート帝国相手の時はかなり密に連携出来ていたし。戦い慣れていたのは大きい。
このレプリコンの宙域を、どんどん自分達のものにしてくれるなら銀河征服はイージーモードに突入である。これだけ広大な領域なら居住可能惑星もそれなりにあるだろうし、人口が残っている惑星も多いはず。生産能力が回復すれば、ラドン連邦相手に正面から殴り合えるようになるかもしれない。
……今現在も侵攻中らしいし、レイがレプリコンの掌握をした今、今までよりも更に効率良くアイヴァン共和国の領域を削れるかもしれない。まだよく知らない国だけど、南に割いていた戦力とかも全部北上させるため、下手したら滅ぶ可能性すらあるな。その後に丸々回収して行こう。
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