第119話 拡張
そろそろ年貢の納め時か、独立させられそうになっているため、レプリコンの勢力圏を削り始める。艦隊の修理期間も兼ねているし、レイの脳移植手術については見物したいから今回の遠征はインバー星系の北のユンバー星系を確保するだけだね。
このユンバー星系は一応居住出来そうな惑星があるが、まだ入植はされていなかった。というのもこの惑星、地震が多発する惑星でマグニチュード9クラスの地震が毎日起こる上、恒星に近くて昼間は70℃を超える惑星だ。……一応、こんなのでも居住可能惑星区分になるので地球のような惑星は結構貴重。
星系基地はロングレンジで破壊し、新たに星系基地を建てているとレプリコンの艦隊はやって来たけど明らかに規模が小さい。なんかもう哨戒部隊が一応やって来た、みたいな感じなのでさっさと追い払う。
「これで5星系かあ……」
「……どこかの従属国とかじゃない限り、銀河連盟に入れる規模だね」
「入る意味ある?」
「流石に入らないとダメじゃないかな?国際法守って貰えなくなるよ」
この世界には銀河全体のコミュニティがあり、俗に言う国際法っぽいものも一応存在している。ネルサイド協定がラドン連邦と停戦協定を結んだ時とかに少し触れたけど、停戦協定について期間だけは守りましょうとか、宣戦布告時にはちゃんと要求事項を相手に伝えましょうとか、何というか最低限のルールだけは存在している。
なお虐殺禁止とかそういうのはない模様。捕虜を捧げるための生贄の祭壇がある文化の国とかもあるらしいし、捕虜をどう扱っても良い感じだしね。あと役割としては、過剰拡大する勢力に対して懲罰戦争を開始することがあるぐらいかな。具体的には星系数が5年で倍以上になったらアウト。……たぶんヒノマルサイクツは銀河コミュニティに入ると、これで懲罰戦争を食らう可能性がある。
まあ、入らなかったら入らなかったらで約束事が一切信用出来なくなってしまうから入らざるを得ないんだけど。5星系以上の勢力で、独立していたらとりあえず入れられるらしいから外交官はたぶんアリアーナが務める。……うーん、独立する前にもう1回はヴォート帝国の戦艦群奪いたいなあ。
『明日の朝9時よりレイさんの脳の移植を開始します』
「お、アデラから連絡来た。
……明日の朝9時だと帰った直後に手術見ることになるのか」
「……現場見る必要ある?」
「アデラに変なの仕込まれたら嫌だし、一応人類史に残ることしようとしているから映像記録残したい」
ユンバー星系の確保が終わると、アデラさんから連絡が入るけどとうとうレイの脳移植手術が始まるのでエレーザ星系のステーションに急いで帰宅。現場に着くとアデラさんと医療班の子達が忙しなく動いており、準備も整っていた。
「……あれ神経?」
「神経に、疑似神経を繋いで脊髄っぽいのを作ってるね。
……セクサロイドの胴体部分もかなり改造するって言ってたよ」
「それはまあ仕方ないか。……これ身体を動かす時の感覚とかかなり変わりそうだなあ」
ちょっと細かく見ていくとSAN値が0からマイナスに突入しそうなので、薄目でレイの脳を見つめるけど、何か脳の下部分から伸びる神経に色々とチューブみたいなのが繋がれていて、セクサロイドの方にもチューブみたいなのが飛び出している。……あらかじめそういうのを付け足していたからか、本番の脳移植手術自体は結構簡単に終わった。というか10分かからなかった。
「社長ー!ちょっと腕とか足を触ってくれない?」
「良いけど何で自分が?」
「触りたいでしょ?1000万クレジットかけた最高級のセクサロイドだし」
「そんな気持ちはちょっとしかない」
その後、アデラに呼ばれてレイの腕とか足を触ると、明らかに脳波を計測している機械が反応を示し、その度にアデラがパラメーターみたいなのを弄っている。……これ、触られた感触とかレイにあるのか。
「これ、レイは触られていることが分かるのか?」
「セクサロイド側にそういう機能が普通にあるから、そのまま脳に繋げただけよ。
じゃあ最後は口の中とアソコの中をよろしく」
「そこは流石にアデラがやってくれ」
「胸までは触ったのに?
まあ良いわ。恐らく、意識が覚醒した段階で身体にそこまで違和感はないはずよ」
ドッキング後はひたすら調整作業を繰り返していたアデラだったが、無事作業が終わると彼女もホッとしていた。……一応これで、脳移植自体は完了。その上、脳の記憶容量を増やしたり計算速度を早くする、いわゆる一般的な脳改造出術も上限までは完了。
後は意識が覚醒するかだけど、今日はまだ眠ったままだろう医療班の子に言われた。手術中、脳に負荷が滅茶苦茶かかっていたようなので疲れ果てている状態ってことかな。
……痛みを感じる数値とかは特に観測されなかったみたいなので、現状で苦しい状態ではないことは確認出来ている。とにかくこれで、一段落。あとはレイが現実を受け入れられるかだけだな。
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