第116話 自治
ある程度の大国となると、セクターという行政区分が導入される。これは中央が全ての星系の管理をすることが難しいから、複数の星系で一纏まりにする感じだ。
ラドン連邦は星図からかなりザックリ区切っているため、例えば北東第二セクターなんかだと16の星系が一纏まりになっているけど、ヴォート帝国はどうやらかなり小分けしているらしい。大体3つ、4つの星系で一セクターになってるね。
テラニド帝国もラドン連邦も、セクター毎に艦隊というものは持っており、ヴォート帝国もセクター毎に駐屯軍は置かれている。……セクターの規模自体は小さいのに、セクター毎の持つ軍量は同じだからヴォート帝国ってかなりの戦力を保有してるんじゃないかな。
シレーネ星系からパラディ社の領域であるシロンヌ星系へとゲートウェイで飛び、そこからヴォート帝国の星系までは3星系ほどなのでエレーザ星系からは片道大体1週間ぐらい。連れて来た戦力はエルダープライズと、第1、第2、第3戦闘部隊で第2戦闘部隊は第1戦闘部隊と同じく戦艦を導入し、戦力を倍増させているため、戦艦2、空母1、巡洋艦5、駆逐艦30、戦闘機500という規模。
そして今回、修理ドローンを大量に載せた補給艦を2隻連れて来ている。現地で戦艦を拿捕し、その戦艦を修理して使っていく魂胆である。それぞれ第1、第2戦闘部隊に所属させており、継戦能力も底上げされた。
どう考えても、もうれっきとした一国の軍隊だな。ヴォート帝国の領域に入ったら、艦船情報を全て消し、マップを確認しながら航行を行う。……艦船情報を消した時点で完全に宙賊化しているため、下手な場所で見つかると厄介
だから極力発見されないように移動ルートを選択し、他のセクターと連携が取り辛そうな駐屯軍から襲う。……戦艦1、巡洋艦複数隻、駆逐艦十数隻。これがヴォート帝国のセクター毎の一般的な駐屯軍の規模で、まあラドン連邦の駐屯軍の規模とほぼ同じだな。
「この規模の艦隊、普通の宙賊からしたら恐怖でしかないんだろうなあ」
「普通はこんな規模まで宙賊が育たないからね……」
「あ、馬鹿が突っ込んで来た。
その巡洋艦は確実に拿捕するぞ」
射出ポッドから移乗攻撃部隊が侵入したのを確認した巡洋艦の中で、こちらの空母に直接自爆特攻しようとした巡洋艦が出て来たけど、当然シールドに阻まれる。巡洋艦の方はそのまま後方のスラスター部分が戦闘機によって破壊され、完全に航行停止となってから中が制圧された。
戦艦はシールド剥げた時点で撤退を開始したため、拿捕出来なかったが巡洋艦を3隻も拿捕出来たのは上々。そのまま戦艦を追いかけると、援軍として隣のセクターの駐屯軍がやってきたためおかわりの時間。
「……東の星系からまた別のセクターの軍がこっちに来てるな。あとここから南の星系にはハイパーリレイがあるから大規模艦隊もやってくるかも」
「……それ不味くない?拿捕した巡洋艦の内、2隻は航行不能なんだけど」
「修理も間に合わないしその2隻は一旦空母に格納するしかないか。
戦艦拿捕したら1回引くぞ」
隣のセクターの軍の方の戦艦を確保したところで、一度撤退を開始する。初めに遭遇した方の戦艦を逃すのは惜しいけど安全優先だ。敵地のど真ん中で欲張ったら死ぬからな。結果、1度目の襲撃では戦艦1隻と巡洋艦4隻、駆逐艦6隻を拿捕。
簡易的に修理をしたら、そのまま第3艦隊のランタンさんの艦隊に合流。巡洋艦や駆逐艦のほとんどシールド剥げたままだし、武装は半壊しているけど後方で案山子になる仕事は出来るだろう。
戦艦も戦艦で曳航する形撤退し、修理をしたがこちらはもう武装が全壊しているので肉壁にもならない。ちゃんとした修理は帰ってからだな。無事に帰れるか分からないけど。
「……北の星系からは戦艦2、巡洋艦12、駆逐艦48。南の星系は戦艦5、巡洋艦7、駆逐艦18か。この戦艦5隻の内、2隻は出来たてほやほやだな」
「そんなこと分かるの?」
「艦船製造モジュールから出て艦隊に合流したから修理したか就航したてのどちらか。
中身きっちり揃ってるとは思えないし南行くぞ」
「まだ奥に突っ込むの!?」
わらわらと駐屯軍が集まって来たが、これに加えて国の正規軍まで動いているっぽいので補足されそう。とりあえずもう2隻ぐらい戦艦奪ったら帰還するか。
「向こうの戦艦は核ミサイルが主武装か。
……テドムシって核爆弾耐えるの?」
「耐えてるね。一発で背中ちょっと禿げたけど」
「……装甲として本当に超優秀なんだな。そりゃ本格的に軍事利用する国も出て来るわ」
「今何考えてるか当ててあげようか?
……テドムシを家畜化して装甲だけ剥ぎ取りたい、でしょ?」
「出来る?」
「効率は悪いと思うよ。第一、あそこまで硬くするにはアホみたいに船体部品を食べさせないと……」
「……出来る?」
「……数匹なら良いんじゃない?」
最近、テドムシのテドドンがやたらと硬くなったが、その原因は余った船体部品を食べているからであり、恐らくヒノマルサイクツではこの化け物を十匹ぐらいなら保有することが可能である。
……売り捌けない分を餌として食べさせたのは、こういう感じで優秀な盾となって貰いたいからだったが、マジで優秀な盾としてシルフィを支えてくれているのでちょっと規模は拡大してみたい。他にも宇宙生物はいるみたいだし、そっちも検討してみようかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます