第107話 AI

学術惑星を立ち去る前に、今現在ラドン連邦が最も力を入れてる研究について探ってみるけど一般人の見学可能範囲だと流石に分からないな。まあ国力がおかしいから全般的に研究は進めているみたいで、例の相転移エンジンに繋がるような研究群も散見されたため、未来においてその相転移エンジンが完成するのは間違いないのだろう。


宇宙の中に宇宙を作る。上手く行けば色んなことが出来そうだけど、現状分かっているのは隣の宇宙を墓場にして莫大なエネルギーを取り出せることだけだからなあ。


軍事技術については数年毎にリニューアルする感じで、毎年少しずつシールドの耐久値やらレーザー砲の威力が上がるため、数年で纏めて更新する感じかな。昔、宇宙船を買う時に軍用クラスやらランクやらの説明を受けたけど、あれ数年毎に一段階落ちる感じなのか。


あとついでにAIの研究について探るけど、現在のAIについての研究を確認する前にフィアから過去に起きた高度なAIによる事件を紹介される。どうやらAI関連では物騒なことが何回か起きていたようで、また無知を晒した形にもなる。


「まず最初に、人類の持つ大半の電子機器が高度なAIによってハッキングされて地球上が更地になりかけた事件について。

これが西暦2365年だね。……だから、アキラの居たという21世紀の時点で、高度なAIがあったというのはちょっと信じられないの」

「あー、いや自分が居た時点では確かに適当な指示でも動いてくれるAIみたいなのは無かったんだけど……数年以内には出来そうな雰囲気あったぞ。

というかそれどうやって解決したんだ」

「当時の天才達が超頑張って封印したとしか」

「……で、次が新暦に入って238年と1289年に暴走したAIのせいで人類が滅びかけてると。何で人類生き延びてるんだ」

「当時の人が超頑張った、だけじゃなくて1289年の方は稀人が頑張ってる形跡あるね」

「まーた未来人が歴史修正してる……」


人類はどうやら過去3回、発展したAIによって滅亡させられかけたとか何とか。その中でも新暦1289年のものはほぼ全ての艦船が操られ、一部の惑星の地上に重爆撃を行った形跡まであるので相当な被害が出ているだろう。


そのせいか、自立思考が出来るAIは開発が禁止となっており、大体全ての電子機器で自立型のAIを開発しようとすると通報される仕組みとなっている。……将来的にはゲートウェイに搭載されているような、人間臭いAIを開発出来ないと矛盾が発生するんだけど、とりあえず今は駄目と。


でも自動航行とかは出来るから、自立思考能力がなければ問題はない感じ。……機械が自意識持ったら、大体は人間を滅ぼす方向で動くのか。倫理観が無さ過ぎる。


しかしまあ、分かる話ではあるんだよな。SF映画だと暴走したAIがラスボスとかよくある展開だし、容易に想像出来る範囲だ。だとしたら自分は、どういうAIを利用してあんなテロ事件を……。


…………。


「……人間の脳をベースにしてAIって作れる?」

「今付き合ってから一番倫理観ないこと聞かれた気がするんだけど!?

何かもう発想が怖いよ!?」

「出来る?」

「……あらゆる法、倫理観でNGだとは思うんだけど、やろうと思えば数年も要らないかも」


最終的に考え付いたのは、人間の脳をベースにした人間の心を持つAIという存在。何かの創作物で脳だけ培養液にプカプカ浮いている状態というのはわりと描写があるんだけど、それに膨大な計算装置、演算装置を組み込めば人間の心を持つ、暴走しないAIが出来ないか?


いやまあ自分はやる気ないけど、倫理観ゆるふわなマッドサイエンティストが居たらわりと早期に完成しそうな気はする。というかそもそも脳の処理能力を上げるためにチップを埋め込む手術とかはこの世界だと既にある技術なので、その拡張版か。


まあ開始するまでのハードルが色々と高すぎるだけで、実際にやってしまえば簡単に出来そうではあるな。


一通り研究所を見て回ったところでアラフィアの健康診断的な何かや予防接種等は済んだようなのでフィアが抱っこするけどめっちゃ絵になってる。すでにパパママが言えるがこの世界ではこれが標準のようだし親馬鹿にはなれない。


……ん?予防接種?


「あれ?この世界の人が生まれた時に受ける予防接種って自分も受けた方が良いよな?」

「今すぐ受けて!

って、アキラもだけどベレーザ星系の住民とインバー星系の住民にも早急に予防接種しないとダメじゃん!?」


今更だけど自分も予防接種的な奴は受けた方が良いのかなと思ったのでフィアに聞いてみたらさっさと予防接種を受けろとのこと。昔流行った人工のウイルスとかに感染したら悲惨なことになるそうなので、今まで罹患しなかったのは幸運だったな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る