第101話 能力

自分がこの世界に来てから1年、ということはヒノマルサイクツが設立されてから1年ということで、ちょうどヒノマルサイクツが設立してから1年という節目にベレーザ星系の住民の完全な解放に成功したのでベレーザ星系に降り立ち解放宣言。


まあ実際はあと1日2日早く全住民を解放出来たんだけどタイミングは調整したよね。ベレーザ星系は完全にヒノマルサイクツが支配下に置く形となったため、従業員数は1年前は5人でのスタートだったのに今9億1387万6000人いるという異常事態。たぶん過去どんな会社でもここまでの成長率を誇る企業は存在しなかっただろう。


大半は、レプリコンが残してくれた設備を使用して食料の生産や家畜の世話をするつもりだけどやっぱり大量に人は余るのでラドン連邦の通常の惑星だとどうするのかなと思ったら大半はニートしてた。いやまあ水と簡易食料だけなら凄く安くで大量生産出来るし、無理に働かせる必要もないと。


……それでも最低限お金はかかるんだけど、ここで人間が寝ているだけでもある程度は生産出来るものがある。糞尿……はほぼ無価値だから置いておくとして、この世界では売血が結構主流だ。大体1ml5クレジット。


毎月100mlや200mlの売血をすれば、ギリギリ生きていける計算になるのかな。まあこの世界でも大量に血を流したら輸血は必要になるしね。代替血液なんかも一応あるけど実際の血の方が良いとか何とか。


「……ちょっと民衆の前で手を振ったら歓声が上がるとか大統領になった気分」

「実際ベレーザ星系の住民にとっては英雄だから……」

「まあレプリコンが完全な悪になってくれているから、そこから解放したら感謝しかないか。

住民の活用はしていきたいけど、同じ学習装置で知識付けているから基礎学力自体はそんなに変わらないのがなあ」

「でも結構各個人の能力って違うよ。特に戦闘機乗りの試験だと、Sランクの人がいればFランクの人もいる。運動能力も結構違うし、使える人は凄く使えるかも」


惑星全員が学習装置で勉強を済ませた状態なのに、学力テストですら結構な差が出来るというのは面白い。テスト中に、公式を導き出せる人と導き出せない人の差みたいなものは出来るって感じかな。たぶんこれは、思い出す能力の差が人によっては大きいんだと思う。


学習装置では、一様に記憶させられるらしいんだけど、それを記憶の海から引っ張り上げる力というのは各個人で違うということだね。あとは戦闘機のテストとか、センスが問われるものは上手い人と下手な人で天と地ほど違う。個人的には、ようやく自分と同じFランクの人が大量に出て来てホッとしている。まあFランクの人、戦闘機乗りとしては採用しないんだけど。


ベレーザ星系の住民で、戦闘機乗りとして志望した人の中で使えるSランクの人は74人。Aランクの人は698人。ここら辺は、全員に戦闘機を与えたいね。……ただこのSランクがシンカー共同体だと最低基準みたいな扱いなのでシンカー共同体と戦争することになったら相当苦戦はしそう。優生主義を推し進めたスパルタ相手にするなら大型艦船を揃えるしかない。……それか、技術差を付けるか。


幸い、ベレーザ星系の人達の中で研究職に就きたいという人は結構多い。ヒノマルサイクツに対して、何らかの役に立ちたいという人が多いのも良い事だ。……一般人が大量に居ても技術革新なんて起きない気はするけど、一般人しかいないと決めつけるのは早いし研究施設は増やそう。


「ベレーザ星系の工場群が使えるようになったからボトルネックが採掘になったわよ」

「お、ということはようやく採掘船を増やせるな。

ヒノマルサイクツという名前なのに全然採掘船増えなかったから助かるわ」

「……ベレーザ星系の工場群、全部フル稼働したら1日当たり船体部品が1000万Pぐらい作れるわよ」

「普通はボトルネックが採掘だからなあ。1日24時間フル稼働想定じゃないだろうし。

……あれこれ売り捌く方が難しくないか?」

「……戦闘機だけじゃなくて、大型艦船もどんどん作るようにならないと消費が厳しいわね」


ベレーザ星系にも幾つか船体部品を作る工場や、船体部品を作る工場に転用出来る工場というのが存在していたので採掘部隊を増やして採掘量を増やしても問題がなくなる。アリアーナによると1000万P程度は生産出来るらしいし、1000万Pも生産出来るならチタンとシリコンがこの半分ぐらいは必要ということで……採掘部門は大きく拡大することになりそう。同時に、マップが本領を発揮できるようになる。


こうなってくると、船体部品を如何に消費するかの方が問題になってくるな。戦闘機を大量に生産するだけでも限界が来るし、各方面に船体部品を売り捌くのも時間がかかる。近場で売れるところに対しては大体売ってるし。


……新しい取引先として、パラディ社は増やす予定だけど自分達で使い切れるようになるのが理想か。戦闘機だけじゃなく、大量に駆逐艦も作って行って、いずれは装甲マシマシの戦艦なんかも作りたいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る