第59話 制服
この世界の服装は、結構みんな自由というか現代日本から見ると奇抜なところもある。アリアーナは黒色のオフィスカジュアルな現代日本でも通じそうな服を着てるけど、それ以外はゴスロリっぽい衣装だったり橙色のぴっちりスーツだったり様々である。
それらには大体宇宙空間でも数十時間は持つシールド発生装置みたいなのが付随していて、万が一の際は自身を中心とした球状のシールドが現れて宇宙空間でも生存可能な状況にしてくれるけど、たまにない奴がある。流石にうちの従業員でそういう服を着て戦闘している馬鹿はいないと思うけど、制服で統一して強力なシールド発生装置を身に着けておいてもらいたい所存。……あと前にステーションとかに滞在している時、たまに誰がうちの社員か分からなくなってたし、統一しておいた方が色々と楽だと思った。
デザインを社員から募集したところ、みんな女性だからか結構良いセンスの制服のデザインを送って来る。……シールド発生装置は当然として、物理的衝撃を弾く機能とかも盛り込みたいな。
「まあデザインは個人的にどうでも良いからフィアやアリアーナが選抜した制服から投票で良いよ」
「……こういう社内公募したものって最後は社長が決めるものよ?」
「不満があった時に責任負いたくないんだよ。投票で決まったものなら幾らでも言い逃れ出来るし」
「たぶんアキラが独断で決めて、不満持つ人はいないと思うんだけど?」
フィアとアリアーナに色々と言われながらも良い感じの制服で投票させた結果、最終的にはシルフィが選んだ青い制服……警察っぽい制服だけど身体のラインが結構出るぴっちりスーツになった。考案者はクザンという金髪の猫耳娘。こいつもサンゴの隊所属か。
性能としては自分が盛りに盛って、戦闘機の流れ弾を1回は弾くレベルのシールドを発生させることが出来るようになった上、物理的な衝撃はかなり緩和出来る感じ。
具体的には銃弾を撃ち込まれても貫通せずに打撲で済む。1着1万クレジットは高いけど、まあ3着ずつ配って良いかな。今までの死者0って奇跡みたいなものだし、極力生存性は高めていきたい。
「……ところでこれ、発注したらエレーザ星系まで届けてくれるの?」
「テラニドカンパニーは敵対勢力のど真ん中でも届けに行くわよ。その場で代金さえ貰えればね」
「スクラップ船も届けて貰ってるしテラニドカンパニーの下部組織とはいえその辺の心配はないか」
「また今度エマーレ星系まで船体部品の売却に行くから私が持って帰っても良いよ」
「ああじゃあそうするか。ついでにシミュレーター追加で買っといて。30台は少なかったわ」
「何台ぐらい?」
「50台ぐらい」
「……2500万クレジットは流石についでで買う金額の買い物じゃないんだけど?」
大型輸送船団はフィアの指揮で運行を開始し、今は船体部品を売って、ステーションの防衛設備増強のためのパーツを仕入れている。そろそろステーションの本体部分も完成するし、あとは防衛力をひたすら強化するフェイズに入った。ネルサイド協定がどれだけ持ってくれるかだね。
一応、トレーヌ星系にあるラドン連邦の軍事要塞を参考にして、それよりも防御力の高いステーションにはするつもり。自分がレプリコン相手に侵攻するまではあのトレーヌ星系が前線だったわけだけど、要するにあのレベルの軍事要塞があればレプリコンは攻めて来ないということ。
……いやでもこのエレーヌ星系の重要度を考えると防衛設備の1個や2個じゃいつか侵攻されるだろうな。そうならないためにも早めにお金を貯めて、艦船製造ステーションも作るべきか。
「今回の船体部品を全部売り捌いたら7億クレジットは最低でも入るだろ。2500万クレジットならそんな大金でもない」
「それでも心臓に悪いよ!?私元々1万クレジットの決済でも手が震えるタイプだからね?」
「……母星に住む獣人の子供のお小遣いって月に幾らぐらい?」
「……1000クレジットぐらい」
「わりと貰って……いや、母星だと物価高そうだしそんなもんか」
フィアに追加で買うシミュレーターを頼み、今日は自室に戻って1人で考える。……今後の方針について、レプリコンの大規模艦隊にすら耐えうるようになった後のことだ。
レプリコンに逆侵攻して、領土を広げる。果たしてそれが、ラドン連邦に許されるかという話だな。……自分がラドン連邦のトップなら、まず許さない。1星系だけの保有でも相当な譲歩だ。そもそも、ネルサイド協定とラドン連邦が戦っていた頃から一採掘企業が保有して良い戦力の規模じゃなかった。
ラドン連邦はたぶん、稀人がどういう力を持っているのか把握している。……軍への勧誘を断った時点で、将来の遺恨になりそうだから処刑or暗殺、はあり得た話だよなあ。ラドン連邦が人権を重んじる国家で良かった。
一先ず、拡張は無しか。星系基地を作ってしまうと領有権の主張は出来るけど、全銀河に領土を拡張したと伝えてしまう。しばらくは一星系のみだ。それでも途方もない量の資源があるから、全部掘りつくすなんてことは今のペースでも数百年先になるだろう。
……こちらが成長し切った頃に、ラドン連邦が弱体化するか、二つに割れてくれると都合が良いかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます