第54話 プール
中部屋にも遊べる施設というのは沢山作ったが、大部屋で群れるというか大勢で集まることが獣人達は好きらしい。根っからの陽キャである。で、プールに関しては身体のトレーニングにもなるし泳ぐことが好きな子は多いようで盛況である。と言っても全員で遊び惚けるわけにはいかないから非番の子達だけだね。
「……改めて考えると自分以外全員女ってヤバイな。この光景見てそう思ったわ」
「眼福?」
「いやもうちょっと全体的に成長して欲しい」
「じゃあお楽しみは3年後ぐらいだね」
プールには幾つか種類はあるけど、一番深い大プールは水深3メートルぐらいあるので12歳のお子様達にはちょっと危険。……そんなこと気にせず、どんどん飛び込んでいるけどね。
一応このプールは、水源でもある。無補給が続くと小さいプールから順番に無くなって行くけどたぶん5年ぐらいは持つんじゃないか。下水から水分を99%は回収出来てそれが飲めるのは色々と凄い。気分的には良くないけど。
フィアの選考基準に美形か否かの項目があるんじゃないかと思うぐらいには美少女だらけだが、そもそも獣人って美形の割合が多いらしいし、獣人の文化的に美女が多くなっていくのは理解出来る。
……イケメンの子って基本イケメンだし、美女の子って基本美女だからなあ。この世界は整形技術も凄いから最初からイケメンであることの価値がどれぐらいあるのか不明だけど。
「そういえば孤児院の母体係見て思ったんだけど体外出産って出来ないの?効率考えたらそっちの方が絶対良いと思うんだけど」
「……稀人って変な方向に知識偏ってるから何か勘違いしてそうだけど、体外出産は非効率的だし普通に出産した方が何倍も子供は健康的だよ」
「あれ?そうなのか?」
「詳しい説明は省くけど……生物の胎内を完璧に模すのは何万もの要素があるし完全な再現するぐらいなら普通に産んだ方が早いよ。そういう装置もあるにはあるけどね」
ちょっとだけ泳いだ後はフィアと2人でプールサイドの椅子にうつ伏せで寝っ転がりながら、疑問点を解消。真面目な話をしているのは自分と同じように寝っ転がっているフィアの身体を見ておっきしてしまった息子を鎮めるためです。初めて見た時も思ったけどスタイル良いんだよなコイツ。背は低いけど。
「休憩中に申し訳ないけどテラニドカンパニーが早く受領確認しろって言って来てるわよ」
「あー、スクラップ船もう届いたのか。というか受領確認って本人がやらないと駄目かこれ……?……うん、予定より多いけど想定内。
まあネルサイド協定は頑張っているようで何より」
「巡洋艦や駆逐艦のスクラップ船も買い取る?」
「当然。一応アリアーナの方で利益出るか計算しといて」
「利益は一応出る予定よ。……ネルサイド協定がレプリコン相手に戦っているだけで、こちらとしては丸儲けな状況よね」
のんびりしているとネルサイド協定が狩ったレプリコンのスクラップ船が届いたけど、戦闘機だけではなく巡洋艦や駆逐艦のスクラップ船も届いたのでかなり正面衝突しているような感じだ。
駆逐艦のスクラップは、テラニドカンパニーの売値が80万クレジットと戦闘機のスクラップと比較して約10倍だけど、全部溶かせば船体部品が2000Pは回収できるだろうから売り上げは100万クレジットになる。……輸送費や護衛費考えるとトントンかな。
もうちょっとで炉の方は完成するため、スクラップの山はどんどん溶かして船体部品が貯まったら大型輸送船でレントール星系まで持って行って売る形。レントール星系に艦船製造ステーションがある以上、需要は尽きないだろうし、レントール星系と距離が変わらないエマーレ星系も船体部品の需要は大きいだろう。
「いぃやっほう!」
「……うわすげ、5回転ぐらいしたぞ今」
「いや今の絶対痛いでしょ。ざばーんってなったよ」
「お、水着脱げてる。アホだ」
「……そういうのはしっかり見るのね」
プールの方から奇声がしたと思ったら、うちの艦隊ではわりと問題児寄りのサンゴが飛び込み台から高く飛び、縦に5回転ぐらいして水面にビターンと叩きつけられていたけどあれで怪我してないのは獣人がおかしい。ついでにポロリもあったがあの子はまだ身体が成長してないお子様体型だし絶壁見ても興奮はしないわ。
しかしながら駆け寄るサンゴの隊の隊員たちはわりと早熟な子が多いのか結構豊満な子もいる。……奇抜な行為をするからよく目につくけど、あれでレプリコンの戦闘機を一番撃墜している戦闘隊なのは謎。あ、あの子狐耳だ。珍しい。
「今サンゴを抱えてるあの金髪の子誰?」
「確かサナだったかな。前にサンゴが乗っていたエクリプスに今乗ってるはずだね。狐耳の子でしょ?結構数少ないけど母星には多いよ。
あれ、ああいう子が好み?」
「いや、単に狐耳だったし気になっただけ。……あのエクリプスに乗ってる子か」
犬耳猫耳以外にも、少なからず別の動物の耳がある獣人。……狐耳の子は、サナと可愛らしい名前だがたぶん37番目の子。サンゴの隊には動きの良い戦闘機乗りが固まっていたと思うし、サンゴが乗っていたエクリプスを継いでいるなら、あの子も相当腕の良いパイロットなんだろうな。
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