第53話 建築艦

レプリコンの勢力圏に侵入し、エレーザ星系にあった船体部品製造ステーションを確保した後は、中央部にあった星系基地を破壊。その後、艦隊の後ろを付いて来ていた特大型建築艦が星系基地の建築を始める。……空母の方が大きいから特大型って感じはしないけどまあめっちゃデカい船だ。


建築艦、と言っても建築用ドローンが主なので建築艦自体がアームを出してアレコレすることは少ない。だけどアームで大きな基礎を組み立てたり、位置の調整をしたりしているからあの大きな船でしか出来ないこともあるのだろう。


防衛設備は後から追加するので、最低限星系領有のための星系基地を作ったら今度はステーションの建築を開始。船体部品製造ステーションがあった近くにステーションを建てて、工場モジュール群は建築艦が修復しながらドッキングさせていく。その場で見積もりとって貰ったけど案外修理費用は安いな。まあそれほど工場部分は損傷してなかったか。


ステーションと炉の建築期間はおよそ1ヵ月ほど。空母を豪華客船仕様にしていて良かったと思うのと同時に、気が抜けない時期となる。両隣の星系に大規模な艦隊が来たら、規模によっては全てを放り投げて逃げないといけない。


しかしながら、ネルサイド協定が良い感じに暴れているのかこちら側に来る艦隊は散発的っぽいし何なら両隣の星系に留まる艦隊の方が多い。……待っていたらどんどん艦隊が増えそうだから、適度に狩ってスクラップを貯めておこうか。


「よし、しばらくは大丈夫そうだし風呂入って来るわ。今の時間なら誰もいないだろ」

「遠慮せず女に囲まれながら大浴場入ったら良いのに。

『今から30分後の14時10分より艦長入浴のため1時間大浴場が使用禁止になります』」

「……このシステムわりと効率悪いな?」

「男湯女湯で入れる日を分ける方が勿体無いからアキラが入る時だけ船員使用禁止で良いと思うよ。それか常時混浴」


両隣の星系までクリアリングして、しばらくはエレーザ星系が大丈夫そうだと判断したら入浴タイム。外の宇宙が見れる展望風呂を所望したら普通に叶えてくれたので建造ステーションの面子には感謝。


……一応、外の光景をリアルタイムで投影しているだけなので装甲を削ったりマジックミラーを設置しているわけではない。もし装甲部分がマジックミラーとかだったらこの部分だけ集中攻撃受けた時の被害がヤバそう。


「しかしまあ、大部屋丸々1つはでかかったなこれ」

「本当に広いわね。

……こんなに広い大浴場に1人で入られてトラブルがあったら困るから一緒に入るわよ」

「……はあ!?」


そして1人でゆっくり入りたかったのにアリアーナがついて来る不具合。1人で入らせて溺死したら問題になるだろアホバカと秘書からのお小言を頂く。いやあのせめてバスタオル巻いてくれませんかね。


というか筋肉隆々な太ももやポーズを取らなくても硬そうな背筋を見てちょっと怖くなったよ。たぶん文武両道な人なんだろうな。胸は……大きいけど半分筋肉?


「……不能ってわけじゃなさそうね」

「どんな心配されてるんだ自分」

「あれだけ女を囲う女好きなのに手を出さないのが不思議で仕方ないのよ」

「いやあれフィアが集めた女なだけで自分から指示出して囲ったわけじゃないわ」


この世界のシャワーは、さっと浴びるだけで垢が落ちる仕組みなので身体を洗った気がしない。これで人体には全く影響がないとか何を使っているんだとちょっと不安になったりもする。


その後、ゆっくり湯船につかって身体を温めるけどそういう文化はわりと廃れているらしい。まあ宇宙進出後の世界だししゃーない。でも獣人の子達には結構人気な大浴場。夜は戦闘機乗りの子達がかなりの割合で入るのでたぶん夢のような光景が広がっているだろう。


「貴方、一度リタイアすることを考えたでしょう?莫大な宇宙大麻を売り捌いた利益で、何年自堕落な生活ができるか計算して……途中で、計算を止めた」

「ああ。あれだけの女を囲って、軽く100年は自堕落な生活ができると計算したよ。

で、その自堕落な生活を想像して……1週間で飽きると思った。夢は夢のままで良いんだよ」

「……なるほどね」


入浴中、アリアーナが何でリタイアしなかったのと聞いて来たけど、実際のところ、フィアと2人だけなら1000年でも2000年でも生活出来るだけのお金はあった。しかしまあ、何もせずにぐうたらスローライフなんてたぶん自分は1週間で飽きる。恐らく、すぐに何か別の金稼ぎの手段を考えるだろうな。


それならリタイアなんかせず、どこまでもこの組織を大きくしていこうと思った。仕事せずに、貯蓄だけでニート生活。夢ではあるけどこれに関しては夢だから良いと思えるものだろう。実際どこかで飽きると思う。


実際にその選択肢があったからこそ、少し悩んで、出した結論は『現状の気ままにお金稼ぐ生活を続けたい』だった。


あとはまあ、自分はこの世界に来た時、本当に何一つ資産は持っていなかった。それがどこまで増やせるものなのか、気になったというのもあるかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る