第39話 イレーヌ星系
マレーヌ星系にはネルサイド協定の船が少なく、警戒もあまりしていないようなので一気にイレーヌ星系まで目指すけど今回の目的はここにある宇宙大麻製造ステーションの破壊だ。あと、前回から更に宇宙大麻のストックが増えている。その数18万P分。
……1P5万クレジットから6万クレジットはする宇宙大麻が、18万P分。ここに100億クレジット前後の宝の山が眠っている計算になり、恐らくこれがネルサイド協定の命綱だ。そりゃこれだけの規模で栽培してたら1隻5000万クレジットの駆逐艦や、1隻2億クレジットの巡洋艦はポンポン買えるわな。末端価格はもっと高いし。
なお戦艦は一番安いものでも10億クレジット、高ければ青天井というか下手すりゃ100億クレジットぐらいの金額はするので流石のネルサイド協定も数隻しか保有していない模様。……この北にディレーネ星系という戦争開始前ではラドン連邦の最北端の星系があり、その北の星系は数多の勢力が欲しがるシレーネ星系だ。
このシレーネ星系をまだずっとネルサイド協定が保持していることから、やっぱりネルサイド協定も大きい勢力だということはよく分かる。……よし、イレーヌ星系に着いた上、ディレーネ星系までネルサイド協定の船はほとんどいない。まあここに遊ばせておく戦力はないよね。
『ネルサイド協定の急造艦隊だ。ここで補給を受けたいからドッキング許可を求む』
「了解。今ドッグを開ける」
一応ドッグの入り口は閉めて警戒していたのに、ネルサイド協定のマークを掲げて、この前に拿捕したネルサイド協定の人を使って録画した映像を流すと簡単にドッグの入り口を開けてドッキングの許可をするネルサイド協定は防犯意識が甘すぎる。ザルかよ。
……あ、だめだ。ドッグの中の艦船には全部人が乗っている。巡洋艦1隻、駆逐艦6隻はここで暴れられるとこちら側の被害は免れない。じゃあ先制攻撃で破壊しておくか。
「斉射」
自分の号令と共に、ドッグの入り口付近からミサイルをぶっ放す巡洋艦2隻。流石にシルフィとイザベラさんは戦争相手に躊躇することないな。同時に外で待っていた駆逐艦達は一斉に戦闘機を発艦させて防衛プラットフォームへ先制攻撃。
当然反撃も来るけど初撃で大体破壊しているので大した抵抗はない。重要施設なだけあって増設された小型の防衛タレットとかは多いけど、こちらの戦闘機の方が多いわ。
……んー、戦闘機が2機撃墜したか。一応乗組員は脱出ポッドで逃げたし即座に別の戦闘機が拾いに行ったけどちょっと痛手だ。でもたった3分で宇宙大麻製造ステーションの戦力を完全に0にした。包囲した駆逐艦により通信も妨害出来ているので助けが来るのは当分先だろう。
「宇宙大麻18万Pと船体部品3万P、ICチップ1万P、修理ドローンも全部出せ。出さないならこのステーション内にいる6500人の命はないと思え」
「……差し出すわけないだろう。
貴様らが悪名高きヒノマルサイクツか」
「出さないなら良いんだ。破壊してから回収するから。
イザベラ、宙間魚雷を宇宙大麻製造モジュールに撃て」
「あらあらあら。宙賊達も諦めが悪いですね」
持っている物資を全部出せと言ったら拒否されたため、イザベラさんに指示を出して現行で一番破壊力のある魚雷(1発50万クレジット)を、宇宙ステーションに増設されている巨大な宇宙大麻製造モジュールに対して撃ち込むよう指示を出す。
……ドッグでの戦闘でも大活躍して、魚雷をステーションの増設部分にぶち込めるイザベラさんは、宙賊に親を殺されているため宙賊に対して殺意が高い。考古学者である両親を共に宙賊に殺されているんだから宙賊の親玉みたいなネルサイド協定に対しては当然殺意が高い。
宙間魚雷は無事に宇宙大麻を製造している巨大な農園にぶち当たり、轟々と燃える。いや実際に音出ているわけじゃないけどめっちゃ燃えてる。あっ、爆発した。たぶんモジュール内の酸素とかを作っている装置か、燃料タンクみたいなところに引火したな。
これを5度繰り返して破壊の限りを尽くし、ステーションの本体部分と居住モジュール、壊れたドッグ部分のみとなったステーションに対して「物資を出さないなら次で最後だ」と淡々と告げると大人しく物資を差し出して来たので有り難く回収する。まあ物資出さなくてもステーションを破壊されてから回収されたら同じだからね。
……あの宇宙大麻の製造部分には、避難していたのか数人しかいなかったようで、合計で20人ほどの重傷者と3人の死者は出ているけど残りは宣言通り見逃そう。別に虐殺をしたいわけじゃないし。
あと死者に対して何か思うところはあまりない。戦争相手だし。ネルサイド協定とラドン連邦の艦隊戦で何千人何万人と死んでいるわけだし。拿捕した際に脱出に失敗して宇宙空間で絶命した人もいるからもう慣れた。人の命が軽い時代っぽいしね。
「……よし、貯蔵している物資は粗方出し切ったか。宇宙大麻が0になったのはこちら側でも確認した。ご苦労様」
向こう側が、何で貯蔵している物資の量を正確に把握しているのか不思議がっていたので内通者がいることをほのめかしておく。これでこの後に魔女狩りが行われたら面白いし内紛やってくれた方がこちらとしては助かるから内紛の火種ぐらいは放り投げる。……冷静に考えたら言う必要のないことを言ってるから嘘だとバレそうだけど非常時には効く可能性もあるし、やらないよりかはやった方が可能性あるでしょ。
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