第17話 賞金
輸送船と採掘船が固まって囮となり、襲い掛かって来た宙賊達を迎え撃つんだけどスキャンもせずに襲い掛かるということは問答無用の手合いか。そして宙賊達の裏を取ったシルフィさんとイザベラさんがあっさりと宙賊達の船を爆発四散させたけどこれ爆発しているのは燃料だけか。
船体はある程度原型を残しているから、スクラップ船として売り払うことが出来るし一部の兵装なんかは無事なこともある。今回の5隻もボロボロだけど一応売れるので採掘船達が曳航し、交易ステーションへ持ち帰る。
フィアさん含む3隻が曳航の役割を請け負い、残りの5隻で予定通りにチタンの採掘を行い、1万Pの採掘が終わったら、早めにテラニドカンパニーの工場へ納品して100万クレジットを受け取る。昨日の今日で納品しに来た自分達にちょっと驚いているみたいだけどオファーがある限り毎日来る予定だよ。
そして宙賊の船から物資を回収したらちょっとばかり『高性能ICチップ』があったので高値で売れた。宙賊を狩るとこういうおまけがあるのは美味しい。元の所有者に返す義務もないので、当然売り払う。合計40Pで20万クレジットは臨時収入として大きい。たぶんどこかの輸送船を襲った帰りだったんだろうな。この売却額に関しては護衛班と山分け。
スクラップ船は5隻で25万クレジットとそれなりの金額となったが、こちらは護衛班に16万クレジットを渡す。残りは自分とフィアさんと孤児達で頭割りだから手元に残るのは1万クレジットです。一応囮をやっていたわけだし、この辺は折半が基本らしい。それでも護衛役には多めにお金を渡したいし、分配に関しては全部自分で決めて行く。
今回の宙賊達には合計で10万クレジットの賞金もかかっていたみたいで、この賞金はシルフィさんとイザベラさんで折半したら良いや。……これに通常通りの護衛料を払って、経費を差し引いて、賃金を払って、自分の手元に残る金額は108万クレジット。これまでの貯蓄と合わせて200万クレジットを超えたので中型採掘船ならあと7隻ぐらい導入出来る。
「孤児院の方に戦闘機乗りたいって人はいる?」
「それは結構いると思うね。子供達にとっては戦闘機に乗って宙賊を退治するのって憧れみたいなものだし、獣人は反射神経も良いから戦闘機に適性のある人は多いよ」
「フィアお姉さまも凄かったのです。……人質を取った宙賊の船を撃てなくて引退したのが勿体無いぐらいです」
「え、人質が居ても問答無用なの?」
「問答無用というより、人質に取られた時点で死亡扱いなので宙賊をそのまま倒しても罪には問われないという方が正しいです」
そしてフィアさんの過去の一部が判明。やっぱりフィアさんも冒険者として強い人だったのか。将来的に戦闘機乗りに戻りたいなら冒険者じゃなくても、護衛役として雇うという手もあるけど……採掘業が肌に合っているみたいだし本人の希望を優先しよう。
孤児院に戦闘機乗り希望の人がいるか聞いてみたのは、戦闘機乗りを増やして行けば、拠点を持つ中規模の宙賊や大規模な宙賊の討伐も可能になってくるからだ。今回は5隻の小規模な宙賊だったけど、それでも賞金として10万クレジットは出る。
2つの勢力と戦争中なだけあって、宙賊は増加傾向中だ。治安維持のための軍隊を内部に向けられないのだろう。賞金のついている宙賊を狩るのは基本的に冒険者の仕事だけど、別に自分達がやっても良い事だ。
現にテラニドカンパニーとかも大規模な宙賊を狩って賞金を得る、というようなことを何度もやってるし。
「ヒノマルサイクツの戦闘部門を創立して戦闘機乗りを増やそうか」
「普段は護衛、丁度良い規模の宙賊が居たら倒しに行くって感じ?」
「そうそう。宙賊の隠れ家的な小惑星帯の位置とかも分かるしね」
「……それが本当なら戦闘部門でも荒稼ぎ出来そうね」
200万クレジットがあれば、良い戦闘機が3隻は買える。シルフィさんとイザベラさんも加われば5隻からなる戦闘機部隊が作れるし、採掘船と輸送船の囮部隊も含めれば10隻前後から構成されるような宙賊なら狩れるようになるはず。
「それならエクリプスを購入するのをオススメするです」
「流石に素人にエクリプスは戦闘機動が難し過ぎるわよ?ここは私の愛機と同じヘルコンドルを……」
「いや、一騎当千の冒険者レベルじゃなくても扱える鈍足重装甲な戦闘機で固めるからな?その分高くなるけど差額は大したことないし」
試しにテラニドカンパニーの重戦闘機で良い武装を盛りに盛ったら100万クレジットとなったけど、これ先に有力な提携企業になって更に高い軍用クラスの武装とシールドを買えるようになってからの方が良いかな。割引が全種の艦船で適用されるようになるみたいだし。お金が貯まるから一気に導入出来るし。
ということは、あと6回チタンを納品すれば良いか。半年で8件以上、が条件だしな。まあそれまでオファーが続くかは分からないけど……最悪シリコンの納品でも良いから依頼をこなしてテラニドカンパニーからの評価を上げよう。
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