第8話 冒険者ギルド

レントール星系に来た次の日。今日もフィアさんと一緒に採掘へ出かける。金儲けしたい系女子であるフィアさんが絶対大丈夫と言うなら何らかの対処法があるのだろう。


「昨日の今日でまた同じ場所へ採掘に行くのは、護衛を雇ったから?」

「ううん、直接雇うのはちょっと護衛料が高いから、パトロール任務の時に気をかけて貰うようお願いしただけだよ」


どうやら冒険者について、ギルドを通して護衛で雇うのはちょっと高いそうなので、ギルド側の依頼であるパトロール任務の時に気にかけて貰うようお願いしたとのこと。たぶんフィアさんの知り合い、かな?


今日もチタンをメインに掘ろうと思うけど、本日1回目のコンテナ満タン時に昨日と似たような宙賊が現れた。しかも数が4機と前回の倍になっている。


「かかった!

アキラは昨日と同じように100Pだけ射出して逃げて!」


自分は前回と同じように100だけ射出して逃げ始めると、1機が追いかけて来てもっと出せと言って来る。うわ撃たれた!?シールドが結構削られる、けどシールド容量の大きいものを買っているからまだ余裕はある。案外逃げるだけなら何とかなるな。


もう1回100Pだけ射出しようかと思ったその瞬間、自分を追いかけていた宙賊の船は唐突にマシンガンのようなレーザーの弾でハチの巣となり爆散した。……たぶん、フィアさんが言っていた冒険者だ。


「フィアお姉さま大丈夫ですか!?

って、違う人だったごめんです!」


いきなり通信が入って来るけどフィアさんの事をお姉さま呼びしている辺りはキャラが濃い。そしてこの子の階級がちらっと見えたけど伍長ってことはそうとう凄腕のパイロットじゃないかなこの人。犬耳が生えているからフィアさんとは同郷っぽいな。茶髪でフィアさんも小さいけど、この子は更に幼い感じがする。


ふと、フィアさんの方を見たら3対1で戦闘してる!?あ、いや違う回避に専念してひたすら逃げているんだ。


自分より更に良いシールドジェネレーターを積んでいるみたいだし、回避機動は上手かった。ある程度は、時間稼ぎが出来る算段だったのかな。その間にこの犬耳の女の子が絶対に助けてくれると、そう考えていたんだと思う。


犬耳の女の子はその後、凄いスピードでフィアさんの元へと駆け付けて3人をハチの巣にして爆殺。何というか、思っていた以上に物騒な世界だ。


一段落したら自分が射出したチタンを回収して、あらためて自己紹介タイム。


「私は冒険者ギルド所属のシルフィです。ランクは伍長で、パトロール任務中に宙賊と出くわしたので撃退致しましたです」

「宙賊の撃退、ありがとうございました。

自分は採掘ギルド所属のアキラです」

「あのー、フィアお姉さまとの関係とか色々とお聞きはしたいのですけど、交易ステーションまでスクラップを運ぶのを手伝ってもらってもよろしいでしょうかです」

「あ、はい」


その後、宙賊を撃退して貰ったお礼としてスクラップとなった宙賊の艦船を曳航する。フィアさんにオススメされていたオプションの1つで、曳航する用のロープみたいな奴と射出機構みたいなものを購入していたんだけど、こういう時に使うのか。


スクラップになった宙賊の船は、それでも業者に渡せば数万クレジットは見込めるそうなので宙賊狩りをメインに行う冒険者にとっては稼ぎどころ。助けた艦船に曳航をお願いして交易ステーションまで持って行けば、本来業者に払わないといけない交易ステーションまでの曳航代が浮くということだね。


多少こちらの燃料代が増えるぐらいは全然良いや。本来ならチタンが200Pぐらい奪われていたことになるし、以降はあそこの宙域で採掘出来なかっただろうし。


そう思って交易ステーションでスクラップを4隻売却したらフィアさんから「アキラの取り分よ」と言われて6万クレジットを受け取る。あれ?


「え、自分が貰っても良いの?」

「今回のスクラップの売却額は20万クレジットで、その半分をシルフィが持って行くから私達は10万クレジットの取り分があるよ。

私達の分は6対4だからアキラは6万クレジットだね」

「いや真っ先に逃げたのに6万クレジットも受け取るのは気が引けるというか……」

「そうです。何で臆病な男がフィアお姉さまと一緒にいるのかさっさと話すです」


そしてフィアさんの影からヒョコッと顔を出すシルフィさん。フィアさんはまだ女子高生って感じの外見だけど、シルフィさんは下手したら小中学生ぐらいの外見だ。これがあの凄腕のパイロットには全然見えない。


「じゃあちょっと場所変えて話そうか。

アキラの借りてる部屋って結構部屋が広い宿だよね?」

「いやまあ結構スペースはあるけど自分の部屋来るの!?というか宿泊者以外の出入りは追加料金取られるんだけど」

「ダメですフィアお姉さま!何で男の部屋に上がり込もうとしているんですか!」


フィアさんが場所を変えようと言って来るけど、そこらの喫茶店みたいなお店じゃ駄目なのか、自分の部屋まで入り込もうとしてくる。シルフィさんも一緒に来ることになったので、3人で自分が取っている宿まで直行。フィアさんがホテルの人に追加料金を支払って自分の部屋に入り込んで来たけどあまり人に聞かれたくない話でもするのか。

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