第4話 船の値段は高い
フィアさんと組むことになったけど、利益は6対4で分けることにした。いや正直に言ってこれでもこちらにとってメリット大きいんだよな。何で後輩の自分が6なんだろう。
そして保護期間の終了のために身分証明書を1万クレジットで発行して貰い、残り財産は34万クレジットぐらい。これを使って自分は中型採掘船を購入する。容量が100から1000まで増えるのはやっぱり大きい。代わりに小型採掘船よりかは速度も小回りも劣るけど。
シリコンの買い取り価格が2倍の1P10クレジットになったから、これでシリコンをコンテナいっぱいに詰めれば1万クレジットの儲けは出る。チタンも倍で1P25クレジットが50クレジットになるから5万クレジットの儲けになるし、採掘業は結構儲かるな。
なお保護期間は100クレジットだった一時的採掘領有権が1000クレジット付近まで値上がりする上、中型採掘船の燃料代は1日で大体200クレジットはかかるから1回採掘に出かけるのに必要なランニングコストは1200クレジットほど。
整備も数日に1度はしないといけないし、その度に1000クレジットが必要だから1日2400クレジットで中型採掘船を貸与してくれる採掘ギルドはかなり優しい気がする。
……いやでも普通の人だと1日で容量いっぱいどころか半分を満たすのも難しいらしいし、余計な小惑星を破砕するとその分効率は悪くなる。1日ホテルで寝泊まりするのも1000クレジットぐらいはかかるし、生活費もあるから普通はあまり儲けられない。
何で1日が24時間で固定されているのかは気にしないことにした。
「採掘船を買う方法も分からないよね?それならこれから一緒にアキラの船を買いに行くよ!」
「……わざわざありがとうございます」
「……稀人って変わってる人が多いって聞くけど、一際変わってるんじゃない?これから一ヵ月間とは言え、一緒に仕事するパートナーだよ?もっと気楽に構えてよ」
「気楽に構えて死にたくないから」
一緒に船を買いに行くことになったけど、まだ会うのが2回目とは思えないぐらい積極的に距離詰めて来る子である。こうやって何人の男を堕としたのかちょっと分からないけど、この子の持つ知識の方はきっちり活用していこう。
しばらく交易ステーション内を歩いていると、テラニドカンパニーという名前の看板を掲げた店に入るけどここが船を買う場所か。いつも看板を見て思うんだけど、何で日本語で書いているんだ。
……このテラニドカンパニーは隣国のテラニド帝国が運営する会社で、幾つもの事業を行っているけど仮想敵国内で宇宙船まで売るのか。何か色々と複雑な国際情勢になってそう。
「そう身構えなくてもラドン連邦とテラニド帝国はほぼ同じ国だから安心して船を購入して良いと思うよ?」
「今初めて自分がいる国の名前を聞いたんだけどラドン連邦で合ってる?」
「……本当に稀人って知識無いんだね?
ここはラドン連邦の辺境、北東第四セクターのハストール星系だよ」
「……………………北東?」
今いるこの国はラドン連邦で、自分と同じ人型の種族が統治、運営をしているらしい。一方でテラニド帝国は最初に宇宙船の溜まり場で見た爬虫類顔の種族で、ということはこの支店にいるのは当然……。
「ようこそいらっしゃいました。テラニドカンパニー、ハストール星系支店へようこそ。予約のフィア様で間違いないでしょうか?」
爬虫類顔である。何かきもいトカゲが日本語喋ってやがる。いやたぶん翻訳とかされているんだろうけど凄い違和感である。……一応これで女性、なのかな?化け物とそう変わらないや。
「アキラが中型採掘船を購入したいというから、私はその付き添いで来たよ」
「そちらのお客様の新規艦船発注ですか。
……失礼ですが予算は幾らほどでしょうか」
「30万クレジットで中型採掘船を購入したい」
「30万クレジットは上限でしょうか?」
「上限いっぱいです。クレジット残高34万クレジットしかないし」
後でこの世界の歴史についても学ぼうと決意したところで、店員のトカゲに手持ち金額を伝える。一応、ある程度の装備を整えた中型採掘船の値段は30万クレジットと採掘ギルドのおっさんに聞いているから間違いはないはず。
「採掘船の装備で重要な項目は2つ。コンテナ容量と速度です。これはどちらかを取ればどちらかを取れないため、選択になりますね。私のおすすめはコンテナ容量の大きい採掘船ですね」
「一応、私は速度をオススメしとくよ。コンテナ容量は800から1200で、最大値が最小値の1.5倍だけど、速度は最大値が最小値の2倍だもん」
テラニドカンパニーの中型採掘船は5種類の船体がテンプレートとして存在するが、どれも価格は15万クレジット前後。ということは、ここからオプション設定で値段が跳ね上がる感じか。
店員のオススメとフィアさんのオススメが正反対だったけど、まあここは中間のものを選んでおこう。コンテナ容量は1000で、速度もそこそこ。昨日操縦していた中型採掘船と同じタイプのもので良いと思ったし、中間が一番だよ。
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