第103話 地下街の人びと(ジャック・ケルアック作)

書かせていただきます。


【簡単な作品紹介】

アメリカの小説家、ジャック・ケルアックの作品。

ジャック・ケルアックはビートジェネレーションと呼ばれるアメリカ文学界の一時代を築いた世代の作家である。

ビートジェネレーションとは簡単に言うと、「ドラッグをやってハイになってノリノリで楽しもうぜウェーイ!」という感じの退廃的なノリで小説を書きましょう。みたいなことを追求した思想のことだ。1940年代終盤から1960年代半ばにかけて流行った思想で、ヒッピー文化にも影響を与えている。

本作もそのビートジェネレーションの影響をたっぷり受けた作品になっていて、その世代の人がどんな作品を書いたのか、という一つの指標と言えるかもしれない。



【数行で読める、あらすじ】

作家のレオ・パースパイドが黒人女性マードゥと出会って付き合って失恋する。


という話。



【作品の特徴】

一人称小説。

主人公の身の回りの世界の描写を一方的に垂れ流す私小説によくある内容。


酒とドラッグでらりぱっぱの白人レオと精神病の黒人マードゥの恋が破綻するまでの話は、よく書けていると思う。


ただ構成を練らずに一気に書き上げたせいか(作者はドラッグをやりながら三日間で書き上げたらしい)、文章があまり洗練されていない。

始終アップビートでノリノリで改行のない文章が延々と続く。

メリハリがないので、各場面が印象に残らない。


この点は欠点かも。


ただ、ドラッグまみれの底辺暮らしのビート・ジェネレーションの一側面をドラッグやりながらノリノリで書いたという点ではビート的特徴がよく出ていて、手法としては面白い。


この本を、シラフではなく酒でも飲んで酔っ払っている状態で読めば、作者の心境を追体験できるので、面白さが増すことだろう。



【作品の見どころ】

私小説なので、モデルを知った上で読めば面白さが倍増する。その点が見どころか。


主人公のレオはケルアックがモデルになっていて、他の「地下街の人びと」と呼ばれる登場人物にもギンズバーグとかそれぞれモデルがいるらしい。作者とモデルとなった人物との人間関係を知った上で読めば、面白く感じるんじゃないかな。



【終わりに】

今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。


ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。


それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。



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