第77話 路上(ジャック・ケルアック作)

書かせていただきます。


【簡単な作品紹介】

アメリカの小説家、ジャック・ケルアックの代表作。

ジャック・ケルアックはビートジェネレーションと呼ばれるアメリカ文学界の一時代を築いた世代の作家である。

ビートジェネレーションとは簡単に言うと、「ドラッグをやってハイになってノリノリで楽しもうぜウェーイ!」という感じの退廃的なノリで小説を書きましょう。みたいなことを追求した思想のことだ。1940年代終盤から1960年代半ばにかけて流行った思想で、ヒッピー文化にも影響を与えている。

『路上』もそのビートジェネレーションの影響をたっぷり受けた作品になっている。



【数行で読める、あらすじ】

主人公のサル・パラダイスは、友人たちがいるサンフランシスコに向かうため、ヒッチハイクで旅を始める。

デンヴァー、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューオーリンズなどを周りながら、ドラッグ、アルコール、モダンジャズなどを体験しつつ、生きることがどういうことか、時間がどういうことかを学びながら放浪を続ける。


と言う話。



【作品の特徴】

語り手のサルの一人称で、回想形式で話が進む。

作者の体験を元にした物語らしく、私小説のような色合いがある。

広大なアメリカを旅する話だが、途中経過はできるだけ省き、要所要所の出来事に焦点を当てているから、助長さがなく、面白さとスピード感を保てている。

物語展開のペースの速さは、ビート世代らしい特徴がでていて良い。


他、第二次世界大戦後のアメリカの無産階級の生活をドラッグやジャズといった文化を交え、当時を生きた人の悲喜劇がよく書かれている。当時の雰囲気を知る資料としても良い作品だろう。


難点を言えば、日本人読者はアメリカの地名に詳しくないので、筆者の読んだ河出文庫の巻末の地図を何度も参照しないと、どのルートを通っているか理解し難い点かな。



【作品の見どころ】

当時を生きた作者だからこそ書ける、人間の生き様が見どころ。


ドラッグが出てくるのもあって、ちょっと脳内が弾けているような性格の人達がたくさん出てきて、キャラ立ちしている人達を眺めているだけでも面白い。


一方で語り手のサル自身は、周りの人間を冷静に観察しているそれほど「アレ」な人ではないから、読者の感情移入を妨げることがなく、物語にスッと入っていける。


この視点人物の描写は巧み。視点人物まで「アレ」な人だったら、感情移入が難しくなって物語の面白さを損ねていたかもしれない。その点でも良い小説と言えるだろう。



【終わりに】

今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。


ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。


それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。

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