第76話 スウ姉さん(エレナ・ポーター作)
書かせていただきます。
【簡単な作品紹介】
アメリカの女性作家、エレナ・ポーターの作品。
【数行で読める、あらすじ】
主人公のスザナ・ギルモア(スウ姉さん)は二十歳の女性。
ピアニストになる夢があったが、家庭の事情で断念。田舎でピアノの教師として生活しつつ、ケントと言う男と結婚したが、ケントが浮気したので騒動になる。
ケントとの騒動が終わった後、スウ姉さんはピアニストとして生きる夢を追い始め、一方でケンダルと言う男と仲良くなり、最終的に求婚される。
と言う話。
【作品の特徴】
主にスウ姉さん視点の三人称。
時代背景については、自動車はあるけれど電話はそれほど普及していなかったという生活状況からして20世紀前半とわかる。
さらに言うと、106ページでフラッパーという単語が出てくるので、1920年代の話だとわかる。
フラッパーというのは奔放な若い女性のことで、日本で言うところの大正時代のモダンガールのようなものだけれど、欧米の文化を知らない人だとわからないかもしれない。
顔立ちや髪型や服装の描写が省かれているので人物像がわかりにくいのも不親切。
全体的に、作品が書かれた当時の読者ならわかりきったことでも、後世の人間が読むことを想定していない描写なので、現代読者に対しては不親切な作品だ。
読む時は注意していただきたい。
小説の技巧的には結構上手くて、「アンコール! スザナ・ギルモア嬢!」のフレーズを繰り返し多用して、家事のために自分を犠牲にする生活とピアニストの夢を対比して強調するあたりは上手い。
ただ心理描写は不十分な感じがして、終盤にピアニストの夢を諦める心変わりが唐突すぎる印象がある。
この点は、もう少しなんとかして欲しかったかも。
【作品の見どころ】
女性が男性に必要とされて結婚して、夢を諦めるものの自分を必要とする人がいてハッピーエンドという朝ドラのような爽やかな物語が見どころ。
ブルジョワな主人公が父親の倒産で貧乏になったのに悲壮感はあまりなく、姉妹で喧嘩をしたりしつつも牧歌的な内容で、万人向けの家族と恋愛がテーマの物語になっている。
小説として読みやすくて、いろいろ損な役回りを押し付けられたり、諸事情で才能を発揮できないまま夢を諦めたりするスウ姉さんには、多くの読者が共感でき、面白く読めるかもしれない。
【終わりに】
今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。
ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。
それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。
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