第79話 ポセイドン・アドベンチャー(ポール・ギャリコ作)
書かせていただきます。
【簡単な作品紹介】
アメリカの小説家、ポール・ギャリコの代表作。映画にもなった名作で、名前くらいは聞いたことがあるかもしれない。
【数行で読める、あらすじ】
客船ポセイドン号は大西洋で津波にのまれて転覆した。逆さまになった船内から辛うじて生き残った人々は、救出される可能性を考慮し船体上部を目指す。
と言うお話。
【作品の特徴】
パニック状態に陥った人間の様子をうまく書きだしている。家族間の愛憎や葛藤等、人間ドラマの場面が多く、見応えがある。
描写も巧みで、船内の死体や漏れ出した黒い重油の描写は生々しく、読者の恐怖心を煽るので不謹慎だが楽しめる。
難点を言えば、牧師が死んだ後のシーンがやや冗長なところか。この点は、映画版が上手く処理している。
あと、オチが映画と違う。具体的にはネタバレだから書かないけれど、皮肉が効いていて良いと思う。個人的には映画版の結末よりも気に入った。
【作品の見どころ】
船から脱出するために頑張るスコット牧師の苦悩が見どころ。
スコット牧師の苦難は、燃える厨房を通ることや、水没した区画に潜水することではなく、つねにリーダーの資質を示し続けないといけないところだと思う。
牧師の率いていた生存者達は、恐怖や不安から、スコット牧師に疑念を投げかける。
「専門家じゃない」「子どもの意見を信じすぎる」「弱者の切り捨てを説教するような牧師だ」「展望がない」「保証がない」「大人数が向かう方向に進むべきだ」などと、自分達が何もできないのを棚に上げて、牧師を非難している。
スコット牧師が選択の正しさを証明しても、生存者の疑念はつきない。
もし牧師が独善的になったり、だれかを切り捨てれば、グループは崩壊していたわけで、リーダーの大変さがよくわかる。
背筋がゾッとするような体験ができて、良い読書になると思う。
機会があれば、読んでみてくださいな。
【終わりに】
今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。
ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。
それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。
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