アメリカ文学

第74話 クリスマスを贈ります(ウィリアム・ウォートン作)

書かせていただきます。


【簡単な作品紹介】

アメリカの作家、ウィリアム・ウォートンの小説。映画にもなったことがある名作なのだが、作家も作品もあまり有名ではない。

特に作家は、Wikipediaに情報が全くないほど、マイナーだ。

これは不憫なので、ここで紹介する。


【数行で読める、あらすじ】

時は第二次世界大戦末期の冬。アメリカ軍の兵士6名がドイツ軍と遭遇し、にらみ合いになる。

ところがクリスマスの夜なのもあって、彼らは、酒を酌み交わして友好を深める。そして、戦いを避けるためにパフォーマンスの戦闘を行い、互いに撤収することを打ち合わせる。


という話。


【作品の特徴】

主人公が生き残って20年後にこの小説を書いたという設定なのだが、これは古典小説によくある手法なものの、戦争小説の場合は逆効果になっている。

主人公が死ぬかもしれないという緊迫感を無くしているわけだ。

また、途中に挟まれる中年になった主人公の回想も唐突に場面を乱すだけで効果的とはいえず、構成として読者の混乱を招く。


構成が読みにくさの原因になっているので、作品に興味を持って読む時は注意した方が良い。


あと、原文と翻訳のどちらに問題があるのかわからないけれど、持って回った冗談の言い方もわかりにくい。


内容が面白いだけに、構成や文章面が残念なところだ。


内容が良いから、それだけでも読んでみる価値はあると思うけども。



【作品の見どころ】

やはり見どころは、敵国の兵士による交流だろう。


捕虜になりたがっている敵兵と情交するという話で、これは戦争小説や映画でよくあるテーマだけれど、この小説はむしろ戦争や戦争批判を書くというよりも戦時中の若者の遊び心や恐怖心や無鉄砲さをよく書いている。

従軍前の童貞喪失の道程や、敵兵との雪合戦や捕虜にする作戦の失敗など、一つ一つの場面はドラマチックで面白い。



【終わりに】

今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。


ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。


それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。

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