第67話 青い花(ノヴァーリス作)

書かせていただきます。


【簡単な作品紹介】

ドイツの詩人、小説家のノヴァーリスの代表作。

二部構成の作品であるのだが、二部を書いている途中で作者が亡くなったため、未完の作品になっている。

この記事では、主に完成している一部を中心にして語っていこうと思う。


【数行で読める、あらすじ】

時代は十三世紀。

主人公のハインリヒ青年は、ある日、青い花が少女に変化する不思議な夢を見る。

父親にそのことを話すと、自分も同じ夢を見たことがあり、その直後に結婚したのだという。

その言葉通り、ハインリヒは、青い花の少女に似ているマティルデと出会い、婚約する。


という話。



【作品の特徴】

三人称小説。第1部、第2部、遺稿という順番で話が展開する。


作者が詩人でもあるせいか、小説なのに歌や詩が作中に書かれているのが特徴だが、詩や歌が物語の邪魔になっていないので、読みやすい作品になっている。


主人公のハインリヒは、世間知らずの受動的で穏やかな青年なので、読者が共感しやすい人物像になっている。


内省する場面が多いので、人によってはうざったく感じるかもしれないものの、個人的には、読者の感情移入を深める効果があって、良いと思う。

ハインリヒと一緒に読者も物語を楽しめるから、読んでいると思わず、詩や歌は素晴らしいよね、と感動できる。



ハインリヒが本格的に活躍するのは、実は第二部なのだけれど、さあ本格的な活躍が始まりますよ、というところで未完になっていて、この点は残念。


最後まで書かれていたら、名作になったはずだ。惜しまれてならない。



【作品の見どころ】


夢や恋や冒険というロマン溢れる要素が見どころ。


ロマンチックな話が好きな人や、詩人を目指す人は読んでも損はない。


加えて、単にロマンチックな話を羅列しているわけではない。作者はハインリヒの内省を通して、読者に詩はよいものだということを伝えたかったようで、その情熱が文章から伝わってくるのも良い。


未完とはいえ面白い内容なので、読んでみることをお勧めする。



【豆知識】

岩波文庫版の訳注によると、作中の主人公であるハインリヒ・フォン・オフターディンゲンは、13世紀の詩人としてドイツの詩に登場するらしい。

つまり実在の人物らしいのだが、歴史上の実在の証明はなく、伝承が残るのみだそうな。

作者は伝承を元にハインリヒ像を作ったらしい。


【終わりに】

今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。


ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。


それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。




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