第56話 魔法の指輪(リヒャルト・レアンダー作)
書かせていただきます。
【簡単な作品紹介】
ドイツの作家リヒャルト・レアンダーの童話。筆者の読んだ岩波少年文庫版では、20のお話が収録された童話集になっていて、「魔法の指輪は」はその中の一作となっている。
【数行で読める、あらすじ】
若い農夫がひょんなことからタカの子を助けて、お礼に何でも一つだけ願いを叶う魔法の指輪を手に入れた。
しかし百姓は金細工師にだまされて指輪をすり替えられてしまう。大量のお金を願った金細工師は、お金につぶされて死んでしまい、百姓の方は指輪を本物と思い込み家に帰る。
農夫は家で考えた。どんな願いも、1つだけ叶えられる。欲しいものはいっぱいあるし、不安も尽きないが、つまらないことに使いたくない。農夫は、人生最悪の日に使うと決めた。
農夫は人生最悪の日と自分が思った時以外には、どんな苦労があっても指輪を決して使わず、真面目に働いて困難を乗り越えていた。
結果、農夫は立派な身代の持ち主になりましたとさ。
という物語。
というお話。
【作品の特徴と見どころ】
偽物の指輪を本物と思い込み、努力で幸福を手に入れてしまうという、良く出来た寓話だ。
非常に短い話なのだが、内容が詰まっているので、満足感がある。
古典の童話らしく、教訓話なのだが、その教訓が何個もあるのが面白いところ。
多少ネタバレになるが、ざっとあげると「欲を出して願い事をすると不幸の種を残す」とか「魔法の指輪という保険があると失敗を恐れなくなる」とかだ。
さらには、夫婦愛なども書かれていて感動的だし、オチも余韻が残る終わり方で、読後感も良い。
子供が読んでも大人が読んでも、得るものの多い内容になっていて、質の高い童話と言えるだろう。
個人的に印象的だったのは、指輪を騙し取った金細工師が、上から降ってくる大量の銀貨によって圧死する…というシーン。作品を象徴するような末路には、童話らしい残酷さと教訓が詰まっている。
【豆知識】
作者のレアンダーは軍医で、本作は「戦地で軍医が書いたおとぎ話」だったりする。そう思うと、感慨深い。
【終わりに】
今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。
ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。
それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。
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