第53話 香水 ある人殺しの物語(パトリック・ジュースキント作)
書かせていただきます。
【簡単な作品紹介】
ドイツ生まれの作家、パトリック・ジュースキントの小説。
1985年の刊行されて以来、全世界で1500万部を売り上げるベストセラーとなっている。
【数行で読める、あらすじ】
グルヌイユは嗅覚が以上に発達していた。ミルクの風味の変化や、空気の匂いの変化などを敏感に感じとることができる。
グルヌイユはその能力を利用し、香水を調合する仕事で大成功していたが、ある日、とある少女の匂いに惹かれて、その匂いを堪能するために殺人を犯す。それを何度も繰り返していた。
が、最後には匂いが原因でグルヌイユが殺され、因果応報の形で人生を終える。
【作品の特徴】
三人称小説。主人公の出生から時系列順に物語が進む形式。なので時系列の狂いがなく、読みやすい。
文章も筆致が安定していて読みやすく、よくわからない比喩や表現などもないので、文学的な表現が苦手な人などにもお勧めできる。
内容は殺人を扱っているものの、犯人はすでにわかっているし、刑事コロンボの犯人とは違って警察機関から逃げるために知恵を巡らせるわけではないので、ミステリやサスペンスとしての面白さはあまりない。
特殊能力を持った人の悲喜劇が本筋なので、ミステリとしてがっかりするから、ご注意を。
【作品の見どころ】
小説ではあまり目立たない匂いを小説のテーマに持ってきたのは、とても珍しく、独創的で面白い。
匂いに関する描写や比喩に面白味があれば、もっと良かったのにと筆者は個人的に思うものの、それを抜かしても、アイデアが素晴らしいので、読んで損はないと思うよ。
【豆知識】
主人公のグルヌイユは、E.T.A.ホフマンの短編小説『クレスペル顧問官』の同名の主人公と、『スキュデリ嬢』の金細工師カルディヤックがモデルと言われている。
読み比べてみても面白いかもしれない。
【終わりに】
今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。
ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。
それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。
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