第16話 シャーロック・ホームズの事件簿(コナン・ドイル作)

書かせていただきます。


【簡単な作品紹介】

シャーロック・ホームズシリーズの短編、第四巻。同時に最終巻でもある(題名は最終巻っぽくないけどね)。


【作品の特徴】


収録作品は以下の通り。


・マザリンの宝石

・ソア橋(版によっては、トール橋)

・這う男

・サセックスの吸血鬼

・三人のガリデブ

・高名な依頼人

・三破風館

・白面の兵士

・ライオンのたてがみ

・隠居絵具屋

・覆面の下宿人

・ショスコム荘


興味深いのは、『ライオンのたてがみ』と『白面の男』の二作品。


ホームズシリーズは、基本的にワトソンの一人称で描かれているのだけれど、この二作品に関しては、ホームズ視点の一人称作品だ。


ホームズの思考過程が詳しく描写されている。


ホームズ語の名言に「あり得ないものを排除して、最後に残ったものは、いかにもあり得なさそうでも真実だ」みたいな意味合いのものがあるけれども、『白面の男』で3つの仮説を立て、1つづつ消していって真実にたどり着く、という、名言通りの推理をしている。


探偵視点のミステリを書きたい人には、参考になる作品と言えるだろう。


【作品の見どころ】


作品的に興味深いのは、『ソア橋』かな。


有名な、ブリキの文書箱の出典が『ソア橋』だ。

ブリキの文書箱の存在が、ホームズパスティーシュ(プロが書いた二次創作)が数多く書かれるきっかけになったと言われているので、歴史的に意義のある作品だろう。


また、事件で使われたトリックも秀逸。

実際の事件がヒントになったらしいけれども、ミステリで使われたトリックとして、『ソア橋』は最初の作品だったりする。


トリックを推測するヒントも、きちんとネタバラシの前に配置されていて、ミステリ的にフェアな作品でもあり、作品としての完成度が高いと言えよう。


読んでおいて損はないよ。



【今読むなら、これがおすすめ】


個人的なおすすめとしては、河出書房から出ている文庫。


まず、注釈が凄い。

ホームズ作品の草稿はどうだったのか、版を重ねる内に内容がどう変化したのかなど、ホームズ作品の詳しい研究が収録されていて、ホームズファン垂涎の内容だ。


一読の価値ありだね。


【豆知識】

シャーロック・ホームズ作品は、五四本の短編と六本の長編が描かれているのだけれど、一時期は六十一本目が見つかったと、騒がれたことがあったりする。


『指名手配な男』という題名の作品で、コナン・ドイルの死後に発見された作品。


当初は幻の未発表作品か! と思われたものの、結局は別人の書いた作品とわかった。


結果、短編集には収録されていない。


個人的には、読んでみたかった。


【終わりに】

今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。


ホームズものは今回で全て解説が終わったので、次回からは、コテコテの文学作品を解説してみようと思う。


よかったら、読んでやってくださいな。


ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。


それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。



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