第13話 はつ恋(ツルゲーネフ)

書かせていただきます。


【簡単な作品紹介】

ドストエフスキーとトルストイに並ぶ、ロシアの文豪、ツルゲーネフの代表作。

少年の苦い初恋を描いた、恋愛小説。

苦い初恋っていったけど、オチまで読むと、苦いどころか猛毒すぎて、読む人は悶え苦しむかもしれん。


【数行で読める、あらすじ】

主人公のウラジーミル少年(十六歳)は、隣に引っ越してきた年上の女性に恋をする。

その女性、ジナイーダはツンデレ(つーかドS)な人で、ウラジーミル少年はジナイーダに散々振り回される。その挙げ句、ジナイーダは別の男に関心を寄せていた。

それだけならいいのだけれど、ジナイーダが心を寄せる相手は、〇〇だったということが判明する。

恋敵が〇〇だった事実を知って、ウラジーミル少年は絶望するのだった。


【作品の特徴】

恋敵が判明するどんでん返し(と言っていいかはわからんが)がインパクト抜群。事実が判明するシーンを読んだら、思わず目を剥くかもしれない。


あらすじでは〇〇と濁したけれど、これは実際に読んでほしいから、ネタバレを避けました。


とにかくこのネタバラシの衝撃が凄まじくて、ぜひ読んでほしい。


初恋の結末がアレだったなんて、恋愛恐怖症になっちゃうよ! 救いがなさすぎ!


でも、面白いんだよね。他人の不幸は蜜の味。


このなんとも言えない読後感は、ぜひ多くの人に味わってもらいたいところだ。



小説の構造としては、四十歳のおっさん達が集まって恋バナをしていて、その一つのお話として、主人公が少年時代の初恋を語る、という構成。


なぜか四十代の主人公は、直接的に話すのは嫌だからと、手帳に思い出を書くことで過去回想するという、湾曲的な展開をとっている。


これは多分、なんでおっさんの恋バナが、小説の形で残ってるの? という読者が抱くであろう疑問に対する、ツルゲーネフの配慮ではないかと、考えられるね。


つまり、手帳に内容が残っていて、それを小説にしただけですよ、という体裁にして、小説の内容が実際の出来事であったかのような、リアリティを与える意図があるわけだ。


古典小説は、小説が絵空事と解釈されないように、リアリティを出そうと色々な工夫をしていて、『はつ恋』の体裁も、リアリティを出そうとツルゲーネフが工夫した結果と、思われる。


実際はどうなのかは、よく知らないけどね!



【作品の見どころ】

主人公の恋敵が判明する場面が、面白さの半分を占めているのだけれど、もう半分は、主人公とヒロインのキャラクター性が見どころになっているかな。



主人公の初恋にのぼせあがった痛々しさは、共感性羞恥を刺激されて、読む人によっては、悶え苦しむかもしれない。


それでなくても、初々しい主人公に対して、共感や反感を持てるので、読んでいて面白いと思うよ。



ヒロインのジナイーダも、印象深いキャラクター。


特に、ツンデレっぷりは凄い。


「あたしのこと好きなんでしょ? あたしもあなたのこと愛しているわ」と言った舌の根も乾かない内に、「顔も見たくないわ」と突き放してみたりする。


現実にこんな女性がいたら、情緒不安定かっ!て言いたくなるけれども、キャラクターとしてはインパクトがあって面白い。


加えて、高飛車なドSっぷりも見どころ。


登場したのっけから、男どもをはべらせ、彼らのおでこを花(なんの花かはよくわからんけど)で叩いているという、SMっぽいシーンがあって、強烈だ。


他にも色々と強烈なシーンがあるけれど、長くなるので割愛。


実際に読んでみれば、わかるよ。ライトノベルもびっくりなツンデレキャラっぷりは、かなり心に残ると思う。



【豆知識】

『はつ恋』は、ツルゲーネフの半自伝的小説らしい。


ほんまかいな、と疑問だけれども、仮に本当だとすると、面白い話かな。


ツルゲーネフは生涯、独身だった方だけれど、『はつ恋』を読んだ後だと、なんとなく理由が理解できる気がした。


実際はどうなのかは、よくわからんけど。


【終わりに】

今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。


ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。


それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。









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