第12話 バスカヴィル家の犬(コナン・ドイル作)
書かせていただきます。
【簡単な作品紹介】
シャーロックホームズシリーズの長編、第三作。
ブラックドッグという亡霊の伝説を元ネタとして、霧の湿地帯に潜む魔犬という、怪談を軸にした事件が展開される。
ホームズがモリアーティ教授と共に滝壺は落ちてから、次の短編集で復活するまでの間に発表された作品だ。
時系列的には、ホームズがまだモリアーティ教授との決着をつける前となっている。
【数行でわかる、あらすじ】
舞台はイギリスのダートムア。
時代は、ベアリング=グールドという研究者によると、1887/12末、または1888/1始めから1889/5/1頃までの約1年半の間とされている。
ダートムアに住む貴族、バスカヴィル家の現当主、チャールズ・バスカヴィル卿が、屋敷の敷地内で死体となって発見された。
ホームズは事件の解決を依頼されたので、ワトソンと共に調査に乗り出す。
【作品の特徴】
シャーロックホームズシリーズの長編は、二部構成をとっていることが多いのだけれど、「バスカヴィル家の犬」は例外的に、二部構成になっていない。ひと繋がりの長編形式で書かれている。
なので、過去回想が苦手な人でも、読み易い作品となっております。
【作品の見どころ】
見どころはかなり多い。箇条書きにすると、こんな感じ。
・ホームズがステッキから紳士の姿を推理する場面。
・清教徒革命時代の地方領主の悪行
・現代に甦る伝説
・ダートムアの監獄の脱走犯
・奇妙な住民たち
・湿原の恐ろしい描写。
・霧の湿地帯で暴れ回る巨大な魔犬
加えて、情景描写が素晴らしいかな。
ホームズの短編はストーリーを書くだけで手一杯で、情景描写があまり描かれていなかったりする。会話や最低限の説明に終始していて、読み易いけれど味気ないわけだ。
しかし「バスカヴィル家の犬」は長編なので、情景描写をじっくりと書き込む余裕がある。
その描写が素晴らしく、作品の雰囲気を盛り上げていたりする。
作品の構成としても素晴らしく、次々に起こる急展開、鮮やかなホームズの推理、若干消化不良な終末など、心に残る作品だと思う。
長編だけに、短編とは違ってあっさりとは読めないけれど、文豪の古典とは違い、べらぼうに長いというわけでもないので、挑戦する価値はあると思うかな。
おすすめの作品。
【豆知識】
精神分析家のピエール・バイヤールという人物が、「シャーロック・ホームズの誤謬」という本の中で、「バスカヴィル家の犬」を取り上げている。
バイヤールは本の中で、ホームズが犯人と特定した人物に関して、異議を唱えている。
つまり犯人は別人で、ホームズが推理ミスをしたのだ、と指摘したわけ。
実に多角的な指摘(野暮とも言う)をしていて、興味深い内容も多いので、「バスカヴィル家の犬」を読んだ後、副読本として、目を通してみてもいいかもしれない。
東京創元社から、翻訳版が出ているので、amazonとかで調べれば、買えると思うよ。
【終わりに】
今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。
ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。
それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。
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