第5話 未成年(ドストエフスキー作)
書かせていただきます。
【簡単な作品紹介】
ドストエフスキーを代表する五大長編の一つ、なのだが、ぶっちゃけ不人気。ドストエフスキー好きの間でも、あまり話題に上がらない。
【数行で読める、あらすじ】
精神的に未熟な青年、アルカージイは寄宿舎を出て、父親とその家族とともに暮らし始める。アルカージイは生まれの問題から、父親の対して複雑な感情を持っていた。
アルカージィは多くの謎や事件に巻きこまれ、それらの問題を通じて、父親への感情は折り合いをつけていく。
【作品の特徴】
あらすじを見れば分かる通り、未成年という作品は、主人公の精神的な成長を軸にした、教養小説、と言っていいかな。
家庭の問題を扱ったホームドラマと言えば、なんとなくわかるかもしれない。
例えるなら、ツルゲーネフの『父と子』にサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』のエッセンスを加え、さらにミステリ的な謎を盛り込んだ、みたいな感じの作品だ。
サリンジャーが好きな人ほど、ハマるかもしれないね。
主人公の精神的な成長が主軸なので、他のドストエフスキー作品にあるような、哲学的要素はほとんどない。
良くも悪くも、普通の教養小説といった感じか。
『未成年』の評価が低いのは、哲学要素が少なく、小難しいことが大好きな人種の興味をひかなかったところに、原因がある気がする。
逆に言えば、小難しい話はあまりないので、深く考えずに作品を楽しめる、ということでもあるかな。
ドストエフスキー作品の、哲学要素が苦手な人ほど、好きになれる作品かもしれない。ドストエフスキーに苦手意識を持つ人ほど、手に取って見てはどうか。
【作品の見どころ】
教養小説なのだから、基本的には主人公の成長ぶりを眺めるのが楽しみ所だろう。
五大長編で唯一の、一人称小説であるのは、主人公の精神的な成長ぶりをわかりやすく描写する狙いが、作者にあったように思える。
他にも色々と事件が起こったりするけど、あまり本筋と関係なかったりすることも多いので、気にしない方が良いかな。
他の要素に目移りせず、ただ主人公の心の移ろいを追いかけていけば、混乱せずに読み通せると思うよ。
【今読むなら、これがおすすめ】
光文社古典新訳文庫が圧倒的に良い。なぜなら、読み易いから。
個人的に、一人称小説は読み易くないと辛いので、読み易いバージョンがオススメかな。
【豆知識】
『未成年』が発表されたのは、ドストエフスキーが54歳の時。
当時の基準だと老人の域にいるのに、青年の成長物語をかけたのは、けっこう凄いな。
さすが、文豪といったところか。
【終わりに】
今日の解説は、こんなところかな。異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。
次に取り上げる作品は、トルストイにしようかな。ドストエフスキーと同じロシア繋がりだしね。
ちなみに、記事の内容や、取り上げる作品は、私の独断と偏見が強いので、あしからず。
それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。
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