第3話 罪と罰(ドストエフスキー作)
書かせていただきます。
【簡単な作品紹介】
ドストエフスキーの長編で、カラマーゾフの兄弟に並ぶ人気作。
映画化や漫画化など、他メディアでも盛んに題材とされたため、小説を読んだことがなくとも、内容を知っている人はいるかもしれない。当記事では、小説に絞って解説する。
【数行で読める、あらすじ】
「俺は人殺しをしてもいいんだ!」という思想に取り憑かれた主人公、ラスコーリニコフが、金貸しの老婆とその妹を殺害した後、警察の捜査から逃れようとするが、ヒロインのソーニャとの交流で改心し、自首する話。
【作品の特徴】
ドストエフスキーの長編で、最も読み易いと思う。
理由としては、他の長編にありがちな、助長な描写や書き込みすぎな人物描写が少なく、必要最低限かつ適切な内容を書いているため、物語が引き締まっているためだ。
それでも、現代小説に比べたら、やはり長いけどね。新潮文庫で上下巻だし。
とはいえ、実際に読んでみると、だれることなく、スラスラ読める可能性は高い。
登場人物の会話が長く、描写が必要最低限という文体のため、文章の技巧より、登場人物の個性が面白さの大半を占める。
したがって、ライトノベルのような読み味を生んでおります。現代人でもとっつきやすく、ラノベ好きほど、あっさり読めてしまうかも。
登場人物の名前を覚えるのが大変だけれど、ナーロッパに親しんでいるであろう、なろう小説読者なら、カタカナばかりの名前にもすぐ順応できると思うので、食わず嫌いせず、読んでみるのをお勧めする。
読んで損はない。面白いのもあるけれど、創作の勉強にもなる可能性が高いからだ。
詳しくは次の項で述べる。
【作品の見どころ】
さすが文豪の作品だけあって、キャラの個性に頼りきっていない。
ラスコーリニコフと、主人公を追い詰める警官ポルフィーリィとの心理的駆け引きは、サスペンスドラマとしても一級品の緊張感がある。
妹の結婚をめぐる駆け引きなど、多くの対立があって退屈しないし、どういう結末になるのか興味を惹かれる。
加えて要所要所に伏線を張り、後半になると伏線が活きてくるため、読み進めるにしたがって、あっと驚く楽しさがある。
推理小説のような読み味が、クセになるはずだ。
これらの要素により、長い物語であるにもかかわらず、飽きずに読める。
あと個人的には、物語の人称も読み易さに繋がっていると思うかな。
三人称の視点による文体だが、基本的に主人公のラスコーリニコフを中心に置いているので、一人称小説に慣れている現代人でも、とっつきやすいと思うよ。
後半につれて、各登場人物に焦点が移ったりするものの、視点の移動がスムーズなので混乱しない。クライマックスを盛り上げる効果を生んでいて、面白さにつながっているかな。
このように、物語の面白さだけでなく、創作のお手本にもなるという、一粒で二度美味しい作品だ。
ドストエフスキーに興味があるなら、とりあえず手に取ってみても、いいと思う。青空文庫にも公開されてるから、無料で読めるしね。
この世には無料でも読みたくない駄作がありふれていたりするけども、罪と罰は例外だと思うから、安心していいよ。
【豆知識】
世界初の長編推理小説は『ルルージュ事件』という本だが、発表された年は罪と罰と同年の、1866年だったりする。
罪と罰が推理小説のカテゴリーに入れて良いとしたら、罪と罰は推理小説の古典中の古典と言って、良いだろう。
【終わりに】
今日の解説は、こんなところかな。
ドストエフスキーばかりじゃねえか、と思われた人もいると思うけど、筆者が好きな作家だからしょうがない。
いずれは別の作家の古典も取り上げるから、許してね。
異論や反論や要望があれば、感想に書いてね。加筆修正しますよ。
それじゃ、今回はこんなところで、さよなら、さよなら、さよなら。
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