第14話 帰還

 朝 4時

「ピー、ピー、ピ」

見張りにいた、工藤紗理奈は、笛を鳴らす

紗理奈は、極端なショートカットの19歳の女の子であった。

紗理奈の目に入ったのは、先頭を弓を構えて進む可奈、ナッパを背負ったショーン、後ろ向きに後方を警戒する大輝の姿であった。

 笛の意味は、「帰還、負傷者あり」であった。

谷に入る所で、紗理奈は、ショーン達のそばに近寄る。

ショーンの指示で、大輝のサポートに回った。

大輝は、後方を警戒しつつ、時折ナッパから、滴る血を燃やしていた。

谷に入り、可奈も、後方へ回った。

渋谷理沙が谷の出口で、ショーンを出迎える。

「3キロ程さきの河原に打ち上げられていた!生きている。途中ドロマエオサウルスの群れと遭遇した!武器のバッテリーは、皆、ゼロに近い!持たせてくれた、ビニール、助かった!ナッパの血がまだとまらないから、ヒヤヒヤしたぞ!」

そう言って、背負ったナッパを降ろした。

ナッパの側に、〝ナース〟北村ローザが寄る。

ローザは、ナッパの止血に薬箱の様な物持ちあたった。

ローザはショーンに「薬の在庫が、昨日、今日でだいぶ寂しくなりました、特に〝抗生物質〟」

ショーンは、頭を抱えた。

今日は、何がなんでも16時の充電をしなければならない、薬箱も手にいれなければならない、問題は

山積していた。

ショーンの妻、理沙は、大輝、可奈も労った。

大輝も、可奈もへとへとであった。

伊達香は、ナッパの無事を確認し、へたり込み涙をながした。

そんな、皆の疲れ切った様子を渋谷理沙は、察知して、「皆んな、朝ご飯は、〝缶詰〟を開けましょう!」と言った。

見張りをしていた工藤紗理奈が「ヤッター!缶詰だ!」と辺りを跳ね始めた。

暗いムードが一気に変わった。

ショーンは「いいのか?そんな貴重なものを」

と妻の理沙に聞いた。

理沙は、「ついてない時ほど、振る舞わなきゃ!」

とリーダーの懐の深さを見せた。

ショーンは、食事の後に、大輝と可奈に集まるよう、伝えた。

知恵をかりたかったのである。

ナッパは、仲間に助けられて生き延びた。

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