第15話 仇

 ベースキャンプの皆は、リーダー理沙の振る舞った缶詰を堪能した。

 缶詰や薬箱は、失敗したタイムカプセルから、ショーンが持ち帰ったものである。

だが殆どは、〝コソ泥3人組〟に持っていかれていた。

 ショーンは、特に〝コソ泥3人組〟と争うつもりはなかった。当然気に食わなかったが、あいつらも必死に生きているんだ、と言う思いからである。

また、ベースキャンプの女の子や子供をまもらなければならない。

そんな恐竜以外に敵を作る余裕はなかった。

 朝食の後、ショーン、大輝、可奈は集まった。

武器のバッテリーがほぼない今、充電は必須であった。また、ナース ローザからの〝薬箱〟のいらいもある。

大輝が「タイムカプセルが、来るタイミングなんですが、エクストラエナジーの選別会は、最近は週一回、土曜日でした。だから、タイムカプセルが来るとすれば日曜日の午前、時間がどれくらいずれているか、分かりませんが、日曜日は朝から、タイムカプセルが来る場所で待機していれば〝コソ泥〟を出し抜けるんではないでしょうか?」

可奈も、「確かにそうです、志願者が減っていたので週一回に、なってました。」

ショーンは、「なるほど、それなら、丸一日待機してもいいな?それだけ、タイムカプセルの場所に行く日を絞れるなら、行動も楽になる」と腕をくんだ。

続けて、「日曜日まであと5日ある。薬の事は、

一旦待って、今日は、充電に向かい、山で一泊して、戻ってこよう、昼過ぎには、出発するから、

睡眠をとった方がいい、一人1時間ずつ仮眠をとろう」と結論ずけた。


午後


 ショーン、大輝、可奈は、武器、ライトなど充電すべき物と、一晩分の食料を持ち山に出発した。

ナッパは、置いていくしかなかった。


 5キロの道のりは楽ではなく、また武器の充電が乏しい今、恐竜との遭遇は避けたかった。

だが、うらはらに、バキバキ!と木が薙ぎ倒される音が近付く。

ショーンは、「そんなに遠くない、大型かもしれない!隠れる場所を探そう!」と辺りを見回した。

可奈が「あの岩の隙間がいいですよ」と3メートルはある岩が、重なった場所を見つけ、3人はそこに隠れた。

バキバキ!ドスン!と近づいてくる!

ショーンは、顔を覗かせ正体を確かめた。

「何!片目だ!」ショーンは、顔色を変え怒りを露わにした!

槍の準備を始める!

大輝は、「ダメです!ショーンさん!充電が無い状態で戦うなんて!耐えてください!」

可奈も、「そうですよ!バッテリー切れが一番恐ろしいって教えてくれたじゃ無いですか!」

ショーンは、抑止が効かず、いまにも飛び出す勢いである!

「ダメです!ショーンさん!」二人は必死にしがみついて止める!

「片目に喰われた〝相棒〟妻 理沙の弟だ!次いつあえるかわからない!やる」

二人は、それでも止めた!

可奈が「充電に間に合わなくなります!片目と一戦交えて、充電に間に合わない!バッテリーゼロ!

今晩から明日まで、どうするんですか⁈落ち着いてください!」と言う。

ショーンは、槍を地面に押し付け、必死に唇を噛み耐えた!

バキバキ!音は徐々に遠のく。

大輝と可奈は、こんなに感情を露わにするショーンを初めて見た。

 片目は、去っていった。



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