第9話 片目


 ショーン、大輝、ナッパ、可奈は夕飯の支度を始めた。

ライトを二つ程照らし、タイムカプセルの廃品を利用した鉄板のような物に薪を焚べる。

ショーンは鶏肉の様な物を焼き始め、鍋の様な物で

〝米〟の様なものを炊き始めた。

四人は鉄板を囲んだ。

可奈が「これは、なんの肉ですか?」と聞いた。

ショーンは、「知らない方がいい、喰えなくなる、まあ鶏肉だと思って食べな!」と答えた。

大輝は、「俺たちの置いてきた備品を取りに行きたいんですが?」とショーンに相談した。

「止めとけ、今頃、コソ泥に持っていかれてる。武器を持ってきただけマシだな!」と言い鶏肉の様な物を食べ始めた。

ナッパは、「ショーンさんは、ずっと1人なんですか?」と聞いた。

ショーンは食べるのを止め、黙って暫く空を見上げた。

3人にマズイ事を聞いたか?という空気が流れた。

ショーンは、再び食べ始め「3ヶ月前まで、相棒がいた‥そいつは、17歳の少年で、やはり体外人だった‥喰われたよ、〝片目〟ってヤツに‥いいコンビだった、優秀な〝ガンナー〟だったよ、素早いヤツで、ソイツが|囮《おとり)になり、俺が仕留める!まだ3ヶ月か、随分前な気がする」そこまで話すと鍋の米らしき物を触りだした。

大輝は「片目って?」と聞くと、

ショーンの表情が変わり、険しくなる。

「片目は、大型のティラノサウルスだ、もう5人は喰われてる、アイツを仕留めるまでは、例え帰れるようになっても帰らない」トーンの低い声で語った。

可奈は聞こえないように、「素敵‥」と呟いた。

ショーンが炊けた米の様な物を皆に配り、〝モヤシ〟の様なものを炒め始めた。

可奈が「この野菜とかどうしたんですか?」と聞いた。

ショーンは、「ベースキャンプがある、そこには、

匿ってる7人の体外人の女の子がいる、10代と20代だ、そこで、暗闇でも栽培できる物を育てている、

ここは、最前線みたいなものだな?唯一〝充電〟出来る場所だ、可奈ちゃんだっけ?可奈ちゃんもそこに居てもらう」と話すと、即座に可奈は、「嫌です!私、戦います!得意なんです!弓が!全国優勝してるくらいですから!〝片目〟を仕留めます!」と歯向かった。

ショーンは、「それなら、尚更、ベースにいて、守りを固めて欲しい!俺の〝妻と子〟を守って欲しい!」

「〝妻と子〟ですか⁈えっ妻子持ち!」どうなだれた。

可奈の恋心の矢は、30分も経たずに折れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る