第36話 追跡(その1)
翌日も一心は頭に包帯を巻いて對田建設で事情聴取を行っていた。
経理部の山野井係長に話を訊いた後総務部へ行こうとして廊下を歩いていると、帽子をかぶり作業服を着た黒縁メガネの若そうな男女が部屋から出てきて一心の方を見た瞬間反対向きに歩き始めた。
一心がその部屋を見ると「資料室」となっていた。
何か気になって話を聞こうとして急いで後を追う。
階段を駆け下りているようだった、革靴の足音が響いている。
「ちょっと待って~」下階に向かって声を掛けてみたが反応なく只管逃げているようだ。
男女がビルの地下駐車場へ行ったので一心は表通りへ出てタクシーを拾う。
地下から出てきた車はそのまま走り去る。
「今の車を尾けて」
運転手に言ってナンバーを確認しようと目を凝らしてみるが見えない。
そうしているうちに首都高へ入って……やがて新宿の街に入り大渋滞に巻込まれ、見失ってしまった。
止むを得ずタクシーを降りた。
――あ~失敗したなぁ、一助にバルドローンで追跡させれば良かった……。
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