第14話 イーリス
其処には、
「お前さんが
「イーリス!?」
クスィフォスが聲を上げると、
「あなたが、
「たぶんそうなんじゃないのかい?」
「そんな馬鹿な!その髪色はなんですか。わたくしたちは決して髪色を
「まあ、
「まあ、あたしは
みるみるうちに、イーリスの髪から色が抜けていく。それは次第に
「流石に、本来の髪色じゃないと力が出し切れないからね。此処までは久方ぶりに元の髪色で駆け付けさせてもらったよ」
「無色!?そんな色、聞いたこと……」
「ないだろうね。あたしも自分以外見たことないよ」
「無事かい?クスィフォス」
「……お陰様でな」
クスィフォスは素っ気無く応えると、やおら立ち上がる。イーリスは気不味そうに目を伏せると貌を背けた。
「そうか。なら、それでいい」
「……髪色の話は後でいい。それより武器、なんか持ってきてねえか?」
冷ややかなクスィフォスの聲に、イーリスは驚いたように目を見開いて振り返った。クスィフォスは相変わらずの不機嫌面でイーリスの傍らへ
「ん?なんだよ」
「い、いや。あたしのこと、気味悪くないのかい」
「あんたが普通じゃないことは既に知ってるよ。どんだけ一緒にいたと思ってんだよ」
クスィフォスは吐き捨てるようにして言い放つと、肩を回して己の身體の具合を見る。血が不足しているのに変わりはないが、それでも坐って待っているなど出来ようはずもない。イーリスは茫然としてクスィフォスを見詰めていて、うんともすんとも云わない。クスィフォスはイーリスの腕を抓った。
「
「ぼさっとすんな。持ってんの?持ってねえの?」
「あ、ああ。あたしの剣を持ってきている」
「じゃあ、どっちか貸して。
イーリスは長槍をクスィフォスへ渡した。クスィフォスは受け取ると、何度か軽く振り、
一方で
「
白布のひとりが聲を張る。我に返った
「
他の
「
「……わかりました」
「
「まあ、そうなるだろうな」
その傍らで正気を取り戻したのか、一時的に忘れることにしたのか、イーリスも
「今度はひとりで戦う、なんて云わせねえからな。一緒に外へ出るぞ」
イーリスは一寸言い淀んだが、すぐさま
「……わかった。死んでくれるなよ」
「もちろん」
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