2:怪しい夜に潜む影
まずは何でもいいから手掛かりをと歩き出したのは良いけれど、正直可笑しなところばかり過ぎて何処から手を付けたものなのやら、だ。街に人の気配はなく、いやそもそも影絵の切り絵みたいな建物で構成されたこの場所を街と呼んでしまっていいのか甚だ疑問でもある所だけれど、近づき注意を払えばややモノトーン気味ではあるけれど真っ当な姿を取り戻す。ネットでサムネをクリックすると解像度の高い画像に切り替わるみたいな、とでも言うのがニュアンスとしては近いだろう、きっと。
もしくは、ゲームでのフラグ立てに手当たり次第にチェックをいれているような気分。あれは必ず何処かにチェックポイントがあると確信があるから続けられる訳で、今の状況だと徒労感の方が圧倒的に強い。現実はフラグが立った効果音もしなければ、攻略本もサイトも存在しない訳だし。いやまあ、現実ではあるけれど、夢なので場合によっては頭の上に
とは言え、全くの収穫がない訳でもなく、このとち狂ったこの夜の街で俺以外の明確に意思を持つであろう影を見つけた。
ビルの屋上から屋上へ、ウサギもかくやな跳躍力で軽快に軽妙に駆け抜けている。
追い付けるかどうかも不明だし、そもそもここからじゃ遠すぎて意志疎通が出来る相手かも定かではないけれど。今のところ唯一見つけた手がかりらしきものだ。
精々必死に追いかけよう。
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