第6話 仲間探し、じゃなくて嫁探し
冒険者として、初めての依頼を受けた私は、森へと向かい、そこでゴブリンを狩った。慣れない戦いへの恐怖や不安はあった。それでも私は、冒険者を続ける事にした。
私が冒険者になって、数日が経過した。初日は大変だった。初めての戦い。何とか7匹ほどゴブリンを討伐し、耳を持ち帰ってギルドで依頼の報告をし、報酬を受け取り、どこかのお店で食事をしようとしたけど、お肉の料理が出てきた時は危うくお腹の中の物を戻しかけた。
でも、それも初日やら二日目くらいまでの話。あれからゴブリン系の討伐依頼は何度か受けた。まずはとにかく、仕事に慣れる事、冒険者の生活に慣れる事を優先したかったから、仲間、というか恋人になってくれそうな女の子探しは後回しにしていた。
それで、今日も今日とて私は森でゴブリンを狩っていた。
「そこだぁっ!」
森の中、ゴブリンの群れに遭遇した私は有無を言わずゴブリンたちに
連射される銃弾は、数発が外れ、数発がゴブリンの体を撃ちぬいた。
『ギャッ!?』
『ギギャァッ!?』
血をまき散らしながらゴブリンが次々と倒れていく。今まさに遭遇したゴブリンの数は3匹。それが瞬く間に、物言わぬ骸になった。
でも油断は出来ない。ここは危険な森の中。周囲を今一度警戒し、危険が無いと分かってから、私はようやく『ふぅ』と息をつき、銃口を下げた。
その後、耳を町で買ったナイフで斬り落とし、ぼろ布で耳を包むとそれを背中に背負ったリュックの中に入れる。さぁて、これでとりあえず今日のノルマは達成かなぁ。
「帰ろ」
ノルマも達成した私は森を出て町に戻るために歩き出した。
≪ハルカもかなり戦う事に慣れてきたわねぇ≫
歩いていると、不意に私の隣に並ぶ女神様の幻影。突然現れたんだけど、これにももう慣れた。
≪そりゃまぁ、仕事としてもう何度もやってますからね。最初の頃は死骸を見るだけでも吐きそうになってましたけど。……流石にもう慣れました≫
≪そう。なら良かったわ≫
未だに、命を奪う事への抵抗や嫌悪感が少なからずある。でもそれも最初の頃に比べれば大分落ち着いて来た。
≪でもそうなると、ハルカは仕事に慣れて来たって事ねっ!≫
≪え?えぇ、まぁ≫
何故かいきなりテンション高めな女神様。なぜ?と思っていると。
≪ならいい加減始めないとねっ!ハルカの、よ・め・さ・が・し♪≫
≪ッ!?≫
「よっ!?っ!げほげほっ!よ、嫁探しぃっ!?」
突然の意味不明な発言に思わずせき込み、声を上げながら問い返してしまった。い、いきなり何言い出すのよこの女神様はっ。
≪そうよ~。ハルカだって冒険者仕事には慣れてきたんだし~。そろそろ嫁、もといハーレムメンバーを探すころ合いじゃないの?というか、当初からその予定だったでしょ?≫
≪うっ、そ、それはそうですけど……≫
実際その通りだった事もあって、思わずうなってしまう。
た、確かに転生直後からそういう風に予定を立てていた。でもいざ仲間、というか恋人候補を探すとなると緊張するなぁ。あぁ、考えるだけで恥ずかしいし顔が赤くなるっ。
≪まぁ何事も初めては緊張するものよっ!でも千里の道も一歩から、よっ!まずは出会って仲間になるところから始めないとねっ!≫
≪楽しそうに笑みを浮かべてますけどねぇ、こっちは同性との恋愛経験0な初心者なんですよ?そもそも異性の恋人すら居た事無いのに≫
≪そこはまぁ、経験?≫
≪簡単に言ってくれますねぇ≫
返事を頭の中で返しながら、現実でもため息を一つつく。とはいえ、
今後の旅の安全のためにも、色んな状況に対応できるようにモード解放はしておきたいからね。って言うか……。
≪女神様、一つアドバイスが欲しいんですけど≫
≪ん?何?≫
≪もしこの世界で、同性の恋人を作るとしたら、1番手っ取り早いのって何ですかね?≫
≪そうねぇ≫
町まで帰るにはまだ少し歩かなきゃいけない。幸い、森は今まさに出たので大丈夫でしょ。それに、これは今後に関わる重要な事。早いうちから聞いておきたいし。
≪1番手っ取り早く、って言うのなら『奴隷』かしら?≫
≪奴隷、ですか?≫
最初からぶっ飛んだ発言、そして奴隷という単語に、不快感から思わず私は眉を顰めた。
≪あぁ待って待って。ちゃんと説明するからっ≫
すると眉を顰めた私に気づいたのか女神様が慌てて声を上げた。
≪こほんっ。え~っとね、まずこの世界には二種類の奴隷が存在するの。一つが合法な奴隷。もう一つが非合法な奴隷よ≫
≪え?奴隷に合法も非合法もあるんですか?≫
≪まぁこの世界ではね。って言うか、合法な奴隷って言うのは多分ハルカがイメージしてる奴隷と結構違うわよ?≫
≪そうなんですか?具体的には、どんな風に?≫
≪えっとね。まず、合法な奴隷って言うのは何らかの理由で奴隷商人に売られた人たちなの。例えば、寒村からの口減らしとか、領主におさめる税金を払えずに滞納した不届き者とか、似たような理由だと借金が払えずに破産して借金取りから奴隷商人に売られたとか。あと特に多いのは犯罪者ね≫
≪成程。じゃあ非合法な奴隷はどうなんです?≫
≪そっちに関してはハルカの予想と同じよ。合法な奴隷と違って、山賊とかに襲われた村とかから連れ去られた若い女の子とかが売られるの。法外な値段で、性的な目的とかのためにね≫
≪うげっ≫
なんとまぁお約束の薄い本展開。しかも凌辱系。私そういうの苦手なんだよなぁ。聞いてて気分悪くなるし。私だって女の子だし、薄い本なら必ずと言って良いほど、女性はやられる側なのだから。そういうのは苦手。……まぁ今は女神様の話を聞こう。
≪合法な奴隷は、犯罪者奴隷でも無い限り劣悪な労働環境で重労働、とかにはならないの。奴隷商人の所に居る時でも最低限の衣食住は保障されるし、奴隷の価値を上げるために教育を施す奴隷商人も居るくらいだしね。それに、合法な奴隷の場合、買った側にもある程度の管理責任があるの。衣食住の保証なんかがそうね。まぁその代わり自由意思みたいなものは無いから、仕事の自由だとか移動の自由は無いに等しいんだけど≫
≪なんか、私の知ってる奴隷と随分違いますね≫
≪まぁね。あ、ちなみにだけど合法的な奴隷だと本人の承諾なしにエッチなお手付きは禁止。無理やりやってそれが外にバレたら、衛兵隊に捕まっちゃうから≫
≪へ~~。……あれ?でもそれじゃあ本人の承諾があれば、恋仲になったりできるんですか?≫
と、話を聞いていて思った。本人の承諾なしがダメなら、逆に承諾ありならOKなの?と。
≪えぇ。不可能じゃないわよ。実際、ある男が奴隷を買ったんだけど次第に愛着を持ってしまった挙句、奴隷身分から解放して自分の妻として迎えた、なんて類の話は少なからずあるくらいだし≫
≪へ~~。じゃあ、女性の奴隷を買う、って言うのも恋人づくりの一つの手、って事ですか?≫
≪うん。まぁそうなんだけど、あまりお勧めは出来ないかなぁ≫
女神様はそう言って腕を組み、難しそうな表情を浮かべている。
≪え?なんでですか?≫
≪だって奴隷になる女の子なんて、冒険者の経験皆無な子たちばっかりよ?腕の立つ女の奴隷なんて、それこそ冒険者崩れの犯罪者奴隷とかくらいだし。そんなの仲間にして、恋仲になりたい?≫
あ~~。確かに女神様の言う通りかも。しかし犯罪者崩れの女性冒険者かぁ。そんな人と恋仲になりたいか?と聞かれると……。
≪……いや、無理ですね。身の危険すら感じます≫
私は即答した。そんな危険な人物と親密にはなりたくないなぁ。下手したら寝首を掻かれる可能性も。嫌だなぁ。怖いなぁ。
≪でしょ~?でもかといって冒険者としての知識も経験も無い子を迎えても、そしたらハルカが自分の手で冒険者として育てるなりレベルアップさせるしかないし。それも大変でしょ?≫
≪そうですねぇ。私だってまだ冒険者始めたばかりですし。それで経験0の子とかを冒険者として育てるのは、ちょっとハードル高いですねぇ≫
≪でしょ?だから奴隷の子を買うのはちょっと反対かも。まぁでもそうね。ハルカが2、3人ハーレムの仲間を作って、ハルカを含めた3、4人で奴隷の子をフォローできるくらいのチームが出来上がってたら、奴隷の子を迎える選択肢もありかもね≫
≪成程~~≫
話を聞いた時は奴隷の子をパーティーに迎えてみようかな?なんて思ったけど、今の話を聞く限りだと今はその時じゃないかも。でもじゃあどうするかなぁ?
≪じゃあ女神様、奴隷以外に仲間を見つけるのって、どうすれば良いですかね?≫
≪シンプルに冒険者ギルドで、女性冒険者の子見つけて仲間にして、口説いていくしかないかもね。一緒に旅をしてくれそうな同性、って言ったらそれこそ女性冒険者くらいしか居ないでしょうし≫
≪ですよね~~。となると、冒険者ギルドで仲間になってくれそうな人、探すしか無いかなぁ≫
まぁ、今はとりあえず戻って報酬を貰おう。そう考えながら、町へ向かって歩く。
≪そういえばハルカ。あなた
≪あ~~。実はちょっと考えてたっていうか。じっくり考えて解放したかったんですよね。最初は冒険者生活に慣れる事が最優先でしたから。それに素の状態でも結構強いですし≫
既に冒険者として何度もゴブリンと、
≪そう。でも早いうちにスキル開放しておいた方が良いわよ?戦場で戦いながら出来るほど、簡単じゃないし≫
≪そうですね。……なら今日の夜にでも解放するかなぁ≫
なんて、女神様と話をしながら町へ戻った私は、ギルドへ行き耳を提出して報酬を貰った。
さ~て、これで今日の仕事は終わりだけど。どうせなら女神様と話してた通り、同性の冒険者仲間について考えるかなぁ。
とりあえずまずは1人。仲間になってもらって、色々頑張って、仲を深めていく。でもなぁ、そうなると最初の1人はどうしよ?どんな子が良いだろう?とか壁際で考えながら、ぼ~っとギルドを行きかう周りの人たちを眺めていた。
女の子の冒険者が0、って訳じゃないけど。大体の子は同性の子だったり、同世代らしい男性冒険者とパーティーを組んでるみたい。ソロらしい女性の冒険者は、今は居ないみたいに見える。
皆どうやってパーティー仲間を作ってるんだろう。と思いながらギルドを見回していると……。
「ん?」
ふと、一つの小さな掲示板が見えた。それは大量の依頼を張り出す、依頼用の掲示板と比べて、小さかった。依頼用掲示板が大人なら、その掲示板は子供かってくらい大きさに差があった。小さな掲示板の上に書かれた文字、『パーティー用掲示板』の文字。
なんだろ?と思いながら私はその小さな掲示板の所へ行ってみた。幸いその掲示板の周囲には人が居ない。そこに張り出されていた1枚の紙に目を向ける。
え~っとなになに?パーティー仲間募集中?現在僕たちのパーティーが前衛職ばかりなので後衛職で4人目のパーティーメンバーを募集中?
見た感じだと、パーティーメンバーを募集する告知みたいなものだよね、これ。他のも試しに見てみるけど、どれも同じような物だった。この掲示板、何なんだろ?……総合案内の人に話聞けるかな?
って事で、私は総合案内窓口の所へ行った。幸い今日は人が居ないみたい。ラッキー。
「あの~、すみません」
「あ、はい。何でしょう?」
「実はあそこにある小さい掲示板について聞きたいんですけど、あれって一体?」
私はさっきの小さい掲示板を指さしながら、窓口に居たお姉さんに問いかけた。
「あぁ、あれは冒険者の人たちがパーティーのメンバーを募集するための書類を張り出す掲示板ですよ」
「へ~。そうなんですね」
パーティー用、って書かれてたし『もしかしたら』、と思ってたけどやっぱりか。
「冒険者はソロだと難しい仕事ですからね。後は何らかの理由でパーティーに欠員が出た所が、補充のために書類を張り出したりするんですよ」
「へ~~。それって新人の私でも出来るんですか?」
「できますよ。張り出しの料金が少し掛かりますが。あ、良ければ今受付ますけど、どうしますか?」
「いえ。確認できれば十分です。自分でももっとよく掲示板に貼ってあるのを見たいので」
流石にまだそこまでは考えてなかったので丁重にお断りさせてもらおう。
「分かりました。あ、そうそう。中には女の子の出会い目的に募集してる野郎のパーティーとかもあるんで気を付けてくださいね?女性限定の募集とか、新人歓迎って単語が揃ってたら要注意ですから、お気をつけて」
「は、は~い」
なんだそれブラック企業の求人ですかっ!?とか内心思いつつ、私は改めて掲示板の方へと向かってみる。そして掲示板に出ている書類を確認していく。最初に見た後衛募集の紙以外にあるのは、さっきのお姉さんが警告してくれたような、女性限定の募集で新人歓迎、先輩が手取り足取り教えるよ、みたいな如何にも出会い目的のヤバそうな募集の書類が2枚。
あとは、新人冒険者がパーティーを組みたいので、同じランク帯の人を募集している書類が3つ程。ただその内2つはどう見ても募集している人の名前からして男性冒険者みたい。最後の1つは、既に男女1人ずつの2人組のパーティーを組んでいて、戦力アップが目的の募集みたい。う~ん、男性冒険者が募集してるのは論外だし、2人組のもなぁ。略奪愛は趣味じゃないし。
こうなると私の方から募集の書類を出すほかないかなぁ。なんて思っていると……。
≪ザワザワ≫
ん?何やら入り口の方が騒がしいなぁ。何だろうと思ってそちらを向くと、ちょうど入り口から一人の女性冒険者が入って来るのが見えた。
けれど、周りの人たちはその子を見るや否や、まるで警戒したり忌諱するような視線を向けている。なんで?と思いつつ女の子の方を見る。
見た目は、剣士かな。腰に剣を下げていて、マントを羽織っている。そしてその隙間からは革製の鎧のような物が見える。けれどそれ以上に目を引くのは、周囲を威圧するような鋭い視線。まるで周囲全てを敵と判断して、警戒しているような、そんな雰囲気だ。
金色の髪をポニーテールにし、それを揺らしながら歩く姿と周囲を威圧するような視線・雰囲気はまるで獅子のよう。そんな彼女を周囲の人たちは見るからに避けているようだった。
彼女はそのまま報酬を受け取る列に並ぶが、その前に立ってる若い冒険者の男性はものの見事に滝みたいな冷や汗を流していた。あの子は、誰なんだろう。ちょっと気になるな。
受付の人に聞いてみるかな?答えてもらえるか分からないけど。私はもう一度、窓口にいたさっきのお姉さんの所へ向かった。
「あの、度々すみません」
「あら。まだ何か?」
「今あそこの、報酬窓口に並んでる金髪ポニテの女の子って何者なんですか?なんか近寄りがたい雰囲気がしてて気になったんですけど」
「え?あ、あぁ。あの子かぁ」
私が問いかけると、お姉さんがため息交じりに呟いた。まるで、腫物を見るような目で。
「あの子はねぇ、問題児、って訳でもないんだけど。でもだからって大人しい訳でもなくて」
「どういう事ですか?」
「えぇっとねぇ。順を追って説明するけど、あの子の名前は『エレナ・イクエス』。ランクはG。確か、半年くらい前に冒険者登録した子なんだけど、これがまた頑固でね」
「頑固、ですか?」
「そっ」
お姉さんは少し呆れた様子で件のエレナちゃんを見つめながら言葉を続けた。
「冒険者って言う職業は知っての通り危険と隣り合わせでしょ?だから皆、基本的には複数人でパーティを組んで活動するの。ソロで冒険者やってるのは、始めたばかりの新人か、単独で化け物級に強い猛者か、自分を猛者と勘違いしたバカくらいだもん。……なのにあの子は誰とも組まないの」
「組まない?つまりずっとソロで活動を?」
「えぇ。たまに新人の子とか、他所から来たパーティが声をかけたりするのを見かけるんだけど、どれも断っててね。酷いのだと手ひどく断って喧嘩になりかけたのもあったみたい」
「えぇ?」
もしかしなくても、一匹狼な感じの子なのかな?まぁ確かに、こうして見てても周囲からの干渉を一切拒絶しているような、そんな剣呑な雰囲気を纏っているけど。
「ギルドとしても、安全性とか生存性を考えたらパーティを組んだ方が良い、ってアドバイスは出来るけどそれまで。そこまでギルドから強制する事は出来ないし」
「そうなんですか」
あの子は、今の私と同じソロの女性冒険者、なんだ。ふと、私はあの子を見つめながらそんな事を考えていた。
「うん。ってな事で、あなたも気を付けた方が良いわよ?下手に近づくと何を言われるか分かんないし」
「あ、はいっ。ありがとうございます」
私はお姉さんの声で意識を戻されると、そのお姉さんに一礼してその場を離れた。そして窓口に並ぶ、例の女の子の隣を通り過ぎる時、彼女を一瞥しつつ私はそのままギルドを出た。
≪それでハルカ?今後の予定はどうするの?≫
ギルドを出た直後、女神様が声をかけて来た。
≪とりあえず、依頼をこなしつつ仲間を、パーティーメンバーを探すのが今後の予定です。それで、パーティーメンバーを見つけたらとにかく慎重に仲を深めていこうかな、なんて思ってます。何しろ恋愛初心者ですからね≫
そう言って私は小さく苦笑を浮かべる。言うは易く行うは難し、と言う言葉がある通り、口にするほど簡単ではないのは分かっているけど、とにかく今は少しでも同性との恋愛について、経験しておきたい。
≪具体的にはどうやって?あの掲示板でも利用するの?≫
≪いえ。今すぐに掲示板は使いません。あれは最終手段です≫
≪最終手段?じゃあ他の手を考えてあるの?≫
≪えぇ≫
私は静かに頷きながらも周囲を見回した。周囲には、私と同じように依頼を終えた冒険者たちが歩いていた。仲間と共に食事処に向かう冒険者たちの中に、1人で歩いている冒険者も少なからずいる。もちろん圧倒的に男性冒険者が多いけど。だからと言って女性冒険者が0、という訳でもない。
≪私と同じように、最近冒険者になった女の子や、或いは近日中に冒険者になる女の子だっているはずです。なので、後輩の女の子冒険者に上手く近づいて頼りになる所を見せられれば、とか考えてるんですけどね≫
≪成程。つまり年下狙いって訳ね?ハルカお姉さま、なんて呼ばせちゃったり?≫
≪とっ!?へ、変な事言わないでくださいっ!≫
真面目に説明していたのにこの百合女神はっ!?ニヤニヤと笑みを浮かべる女神様のその顔が非常~~に腹立たしいっ!
≪ふふっ、ごめんごめん。まぁでも、それがハルカの選択なら、私は何も言わないわ。私はただ、アドバイスをして、あなたの旅がどんなものになるのか。どんな百合ハーレムを築くのか、見守るだけだもの≫
そう言って慈愛に満ちた笑みを浮かべる女神様。ホントその表情はいかにも女神様ッ、って感じなのに言ってる事が非常に残念過ぎる。まぁ、今更だけど。
≪あんまり期待しないでくださいよ?私はまだ恋愛初心者なんですから。女の子の恋人1人作るのだって、どれだけ時間が掛かるか≫
何もかもが文字通り手探り状態。正直、女の子の恋人が出来るかどうか、自信が無かった。新しい力の為には必要なのは分かっている。けど一人の恋人を作り、その恋仲を維持しながらハーレムを作っていく。
ホント、荒唐無稽と言うか何と言うか。ハァ、先が思いやられる。
≪ふふっ。そう心配しないで。ハーレムを作り維持するのは確かに簡単じゃないかもしれないけれど。でも、ハルカが人として正しいと思った行いをしていれば、自ずと人が集まって来るわ≫
≪そういうもん、ですかね?≫
≪えぇ。そういうもんよ≫
自信無さげに問いかける私に、逆に自信満々の様子で頷く女神様。
≪まぁ、とにかく今日はもう戻って休みなさい。あなたの恋人探しは、まだまだ始まったばかりなのだから≫
≪はぁ。まぁ、それもそうですね≫
とりあえず、分かりもしない未来の事をあれこれ考えても仕方ない、と区切りをつけた私は、これ以上深く考える事を止め、宿に向かって歩く。
女神様の言う通り、私の恋人探しは、ハーレムメンバー探しは、まだまだ始まったばかりだった。
第6話 END
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