#4 E30/9月 元老院議長室から
(デイリーエルバニュース政治部)
フランクフルト 9月
帝国歴20年の欧州条約成立から10年。帝国から、領土を飛び越えて欧州全土の各植民都市との連携を強めるこの条約は、国内の政治に亀裂をもたらした。
6日の集会での議論内容では、各法律以外に、各地から集められた植民都市派遣議員と国内議員との差をどう埋めるべきかが挙げられた。
というのも、欧州条約締結時は経済連携や人的支援、学術支援など国内に関わらない外交的な項目が主だったものが、二度にわたる「改良案」によって国内での政策に関わるものも対象に挙げられることとなり、各地の経済状況が考えられていない、いわば帝国から各地へ押し付ける形のものが、各植民都市にいわば毒となってこの10年間で問題が噴出してきているのである。すでに条約から離脱したいと言い出している都市もあるなど、今後の調整はかなりの慎重さを要するものだろう。このまま条約が中身のない外側だけのパイになってしまったら目も当てられない。
また、元老院自体も問題が山積みだ。
帝歴5年ほどから始まった、皇帝と元老院の権力移譲は、元老院自体の「改革」によって細分化し、問題に幅広く対応できるようになった代わりに、誰も責任を取らないようになってしまった。リーダーシップのない政治は、前進のない政治なのだ。政策自体も今までの改良や修正ばかりで、思い切った舵取りは姿を見せなくなっている。政治が安定したと言われればそれまでだが…。
元老院議長はこれらのことに頭を抱えつつも、改革はしていきたいと臣民に希望を持たせる発言を行った。しかし、近い者の意見では自派閥はすでに潮目が動いていると判断をしているとのこと。来年9月に議長の椅子に関する院内会議があるが、すでに見切りをつけられ始めている中では厳しいだろう。
ちなみに、皇室部記者らの情報では、皇帝・皇后の政務に関しては、国外での政務が主であり、元老院を当てにして国内を見られることは少ないだろうという見方があり、皇帝が持つ数多くの特権や勅令に関しては、元老院議長といえども期待できずに1人でこさなければならないようだ。自らが行ってきた皇室を国内政務から遠ざける政策が、自分の首を絞めている状況である。
皇帝陛下や皇室御一家との連携を強め直し、元老院の手網を握ることも一手、元老院の主力派閥をまとめあげ、議長の椅子に座り続けながら改革を続けるのも一手。また、意見が違うが集まれば主力派閥の席数よりも多い少数派閥群を味方に付けていくというのも一手。
期限は来年9月まで。
元老院議長の手腕が試される時は着々と近づいている。
作
デイリーエルバニュース 政治部
翻訳
デイリーエルバニュース 東洋支部
翻訳版:FRAKI ELBHA NEBS (Daily Elbha News) 白須賀平八 @Melnus
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