#3 E30/7月 デイリーサイエンス 【長寿の謎に迫る 500歳到達のおばあちゃん家に泊まってみた】

 読者のみなさま、ごきげんよう。

 夏休みも真ん中となり、いかがお過ごしでしょうか?


 我がデイリーサイエンス編集部では、まさに夏休み真っ只中ということで、わたくし以外はヴァカンスでホウボウに散っているようです。

 各地からは続々と記事やお写真が届いており、わたくしはひとりぼっちの編集室で、のびのびと仕事をしておりますわ。


 デイリーサイエンスの普段の記事は、大学や研究所から発表された論文をとりまとめて、こんなことやあんなことがありましたよと記事にしていく仕事ばかりですが、このような企画も時々ありますのよ。


 ぜひ読者のみなさまもお子さまとご一緒にお読み遊ばせ。



 さて、前置きが少々長くなってしまいましたが、今回はみなさまもご興味があるであろう、【長寿】について。


 我が帝国の臣民の平均寿命は、男女で370歳ほど、年々上昇傾向にあります。


 また、殿方より、奥方の方が10歳ほど長生きするようです。まぁ、たいした差ではありませんわね。


 これは、生活水準が上がっていることはもちろん、食事や睡眠に対する技術の向上によって、よく食べよく眠ることができていることで病気にそもそもかかりづらくなっているというのが理由でしょう。

 もちろん、お医者さま方の努力の結晶でもありますわ。


 最近、驚くべきニュースが編集室に届きました。帝国領プロウディフ近郊にお住まいのおばぁさまが、先日500歳のお誕生日を迎えられたそうなのです!まぁ 長生きですわね!


 わたくしはそのおばぁさまご一家にぜひご一緒させていただけませんかと問い合わせまして、取材のお許しを得ることが出来ましたの。


 プラハの編集室からは、かなりの長旅でしたが、おばぁさまのご自宅は雄大な自然に囲われた、お花や装飾で囲まれた可愛らしいお家でした。


 メイドの案内でお部屋に通されると、おばぁさまがお出迎えしてくださいました。


 おばぁさまのお名前は、フローラ・ティルフィルス。ティルフィルス家に生まれた大家族の末娘で、男家族は商人が多く、女家族は大母様が経営されている織布業会社に参加していたりと、家族ぐるみで商売をされているようです。そのような中にあって、フローラ様は学者の道を選ばれたのですわね。


 執筆されているご本は、ご近所の市場にしか売られていないようで、プラハで知られていないのも納得でしたが、場違いなほど精巧な絵や図で説明された生物学のご本でした。わたくしの叔父さまにプラハの本屋さんでも販売して頂けるようにお願いしたいですわね。


 500歳とも聞くと、よぼよぼのおばぁさまが出てくるのかと思いましたら、ぜんぜん違いまして、朝は畑のお手入れにランニング、昼は近くの森や茂みに入って資料を採り、夜は書斎でご本の執筆をなさっているようなのです。そして、数枚原稿を書くとすぐに寝てしまうという、規則的な生活をされています。


 このようにずいぶんとお元気なおばぁさまでした。



 今回のお話を大学の先生方にお話したところ、解説してくださったのは、寿命と生活習慣病の研究をされている先生でした。


 先生曰く、運動に規則正しい生活、頭の体操と3点セットが揃っていると寿命が伸びやすいとのことです。学者になるほどでなくても、本を読んだり、実際に物を見てスケッチをすると良いそうです。わたくしもさっそく画材を購入しましたわ。


 みなさまも、この夏休みに規則正しい生活をして、ご家族で健康にお過ごしくださいませ。


(エレオノーラ /プラハ編集室)


 お知らせ

フローラ生物図鑑はプラハ総合書店にて予約を受け付けております。


 宛先: ――――



 作

エレオノーラ ユースティヌ フォン アーレンクラメンタイン

 監修

エーデル クラナリウス /プラハ大学


 翻訳

デイリーエルバニュース 東洋支部

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る