第二章 ロディと初研修
第7話 急に研修って言われても!
「おー、やっぱロディさん伸びたかぁ」
ロディの初クエスト後、ギルドマスターの個室で、ギルドマスターとウォルターが向かい合っている。今後のギルド方針を決める会議の中での一幕だ。
「最近の新人にしては掘り出し物でしたね、アイツはこっちの想定外に伸びてくれる原石ですよ。他のギルドは見る目なかったとしか」
本人の前では絶対に言わない誉め言葉の羅列。ロディが聞いたらすごく喜ぶだろう。
「そうだね、あの子は自分で勝手に伸びしろがないと思っているけど、応用力でどこまでも伸びる。そこで、このギルドの初心に帰ってあの計画を進めたいんだけどどうかな」
「と、言うと…」
嫌な予感が、という顔をするウォルターに、得意顔でギルドマスターはこう続けた。
「うん、ロディさんの新人研修にダンジョン探索を、研修官にはサーラさんとバーダンを付ける」
「反対です」
即座に反論の弁を吐くウォルター
「サーラはともかく、バーダンは…」
「大丈夫大丈夫。この三人なら上手くいくって」
ニコニコと笑うギルドマスターの顔に、不安しか感じないウォルターであった。
「初クエストと前後したが、ギルドマスターから勅令で新人研修をすることになった。これが今回のクエスト内容。研修官はサーラとバーダンだ、特にサーラはうちのエース筆頭。勉強になることもあるからよく見ておけ」
そういうウォルターさんの顔は、いつもより三割増しで眉間にしわが寄っている気がします。
「それとバーダンは…いや、これは道すがらにわかることだ。とりあえず用心しておけ」
「用心って言葉でもう既に怖いんですけど…あ、今回も装備借りれますか?お金カツカツで」
前回は壊れた装備の金額に目を剥いちゃいましたけど、同じ装備を買うともっと高いことが分かったんです。剣って安物でも一本金貨10枚いくんですね。もし買ったものだとしたら、ちょっと立ち直れていなかったかもしれません。
「ああ、用意してる。前回と同じでいいか?」
「それと、≪影縫い≫用の針も用意していただけるとありがたいです」
前回の仕事であったらいいなと思ったもの筆頭をお願いしてみました。足を止める斥候用の技≪影縫い≫。あれがあればもう少し楽に殲滅できましたからね。
「ああいいだろう。用意しよう。それと出発は明日。急な仕事で悪いが、まぁ冒険者なんてこんなもんだ。頑張ってこい」
「あ、明日ですか…わかりました」
そんなに急に言われても、という言葉を飲み込んで、明日の仕事に備えることにしました。
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