第98話
そして今、宇宙の海での戦闘である。
フォー2を目掛けて飛んでいる最後尾の戦闘機が突然大破する。
「フォー3、着弾を確認、1機大破。フォー2へ、もう一度中央突破を、援護体制は準備できている」
「フォー2、了解。思ったより遅かったな」
「申し訳ありません、挟み撃ちで行きましょう」
「フォー2より、再度了解、中央突破する、頼んだぞ」
「フォー3より、了解、任せてください」
「ありゃりゃ、奴らやるね。こっちも負けていられないと言いたいところだが。ハァー1、大丈夫か?」
「ちょろいもん、と言いたいところだけど、囲まれたみたい」
「ああ、こちらからも見えている、援護する。自力で脱出してくれ」
「了解、え? だめ、無理だわ」
「頑張れ、右斜め後方に編隊の隙間が見える。そこを突け」
「無理よ」
「無理でも飛ぶんだ」
その時、右斜め後方の敵戦闘機1機が大破する。
それと同時に、大破した戦闘機の両翼の戦闘機が同じ目に遭わないようにと緊急旋回して隊列から左右に離れる。
「完全に退路が開かれた。飛ぶんだハァー1」
「フォー1へ、了解。右斜め後方へ」
ハァー1が後方へ旋回した時、1機の二人乗り迎撃機を見る。
「ハァー2」
「遅くなってすまない。ハァー1、そのまま戦線を離脱して体制を整えてから戻って来てくれ」
ハァー1、パイロット、ニーナが聞いたのは、確かに副長ウイスの声だった。
「ハァー2へ、了解」
「おい、バスコ。機銃操作の具合はどうだい?」
「ウイス、まだ、少し、慣れるには早いようです」
「それで良い。今のお前は、相手を撃ち落とすんじゃなくて、味方に当たらないように撃つことから練習だ。それ以上は望んでいないがだ、さっきの狙い撃ちは大したものだったぜ」
「ありがとうございます、ウイス副長」
「さぁ、ニーナ達が帰りやすいように掃除を始めよう」
そう言った矢先に、ハァー2の横へ突進してきた戦闘機が光に包まれ宇宙の海に消え去る。
「おい、ハァー2。後ろに乗っているのは誰だ?」
ハァー2迎撃機に突進してきた敵戦闘機1機を撃ち落としたフォー1から連絡が入る。
「よう、ありがとさん。助かったよ、ルイス。二人で宇宙を飛ぶのは久しぶりだな。後部座席はバスコだ」
「何! バスコだと! 新人じゃねぇか。無茶をしやがる」
そしてフォー1の後ろでまたしても戦闘機が光に包まれ消え去って行く。
「こちらハァー1。フォー1、ハァー2へ。無駄口を叩いていると、ここがあなた達の墓場になるわよ」
「おい、聞いたか今の? ありゃニーナの声だぜ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます