第82話
月面の砲台が光った瞬間、クロウ海賊船が遥彼方に吹き飛ばされて行く。
「よし、第1作戦成功だ。後はジゼル総督がなんとかしてくれる」
と攻撃隊隊長のボルグが言う。
「隊長、未確認飛行物体が」
後方支援部隊の警備艇から連絡が入る。
「クロウ海賊団め、ゴミを置いていきやがったか。構わん、こちらには素粒子砲を搭載した戦闘機が5機ある。今度こそ痛い目に遭わせてやれ」
「了解、ウイグル2、戦闘体制に入ります」
続いてウイグル3から5までの戦闘機が同じ言葉を返し、戦闘体制を整える。
「こちら隊長機、ウイグル1だ。先陣を切る。ウイグル2、3、左翼へ。ウイグル4、5、右翼につけ、目標、目の前の敵機。レプトン粒子充填、後方支援警備艇は我々が撃ち漏らした敵機をレーザービームで撃ち落とせ」
「了解、警備艇、迎撃準備良し」
彼等の目の前に存在するのは、クロウ海賊船から発艦した4機の迎撃機である。
「こちら、ウイグル1。俺は先頭の1機を狙う。残りはお前たちで処分してくれ」
「了解」
とそれぞれの戦闘機から応答があるとベルグの乗った戦闘機ウイグル1はさらに速さを増して、クロウ迎撃機の編隊へと直進する。
両翼の戦闘機は左右から攻撃するために散開する。
ボルグが先頭の敵機をロックオンすると、相手の迎撃機がまるで直角を描いたように急上昇する。
「なんだと! こちらがロックオンするのを最初から分かっていたのか?」
ボルグが驚いている暇を与えないかのように、上昇したはずの迎撃機は既に後方からの追尾体制に入っている。
「なんていう操縦技術なんだ!」
叫ぶようにボルグが言うと、
「しまった、ロックオンされた。急降下が間に合うか?」
ボルグは、もはや祈るよような言葉に変わっている。
その瞬間に迎撃機が追尾を止めて、またもや急上昇する。
迎撃機の急上昇と共に後方から警備艇のレーザービームが雨のように飛んでくる。
「馬鹿野郎、味方を潰す気か!」
ボルグが迎撃機から逃れようとして急降下をしたのが幸いして、辛うじて味方からのレーザー砲を避けることができていた。
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