第76話
クロウが着艦し、ルーと共に艦橋へ戻って来ると副長のウイスが忙しげに声を掛ける、
「船長、奴ら、休戦をしたいって連絡してきたぜ」
「休戦?」
「ああ、理由は分からないがね。休戦だとよ」
「・・・・・・・。」
「クロウ、どうするの?」
船長に航海長のダフォーが尋ねる。
「分かった、受け入れよう」
暫くの沈黙の中、ウイスが船長に聞く、
「クロウ、どう思う? 俺としちゃ、この戦い、5部と5部って見ているが?」
それに答え、
「いや、私たちの方が部が良い、奴らには素粒子分解幕もなく、以前の戦いで思ったんだがレプトン砲のエネルギーもレベル10が限界だ」
「じゃ、奴ら前の戦いで放ったレプトンエネルギーは最大だったってことかい?」
「あの状況でなら、私もそうしていた」
「それでも、休戦を受け入れる理由は何?」
次いでダフォーが尋ねた。
「このまま戦えば、こちらも無傷ではいられない。休戦だ」
クロウの言葉にダフォーがまた尋ねる、
「クロウ、何か作戦がありそうね?」
「奴らの策に乗る。月移住区にレプトン砲があったと言うことは、月と武器商人の星ロスゴダとの取引があったはずだ。今の人類の科学力では素粒子を武器化することは不可能だ。そうとなれば、総督のジゼルは月移住区に肩入れをして地球の植民地化を武力で完結させるはずだ。ジゼルは月へロスゴダの取引先として全面協力しながら武器を売りつける。奴らが単に休戦を申し出る理由は他にない。奴らは、ここを去ったと見せかけ、こちらの油断を見て現れ主砲を放つはずだ。それに応戦する」
「応戦の手筈は?」
副長が尋ねる。
「考えてある」
ウイスの方を見ず、真っ直ぐに正面を見ながら、クロウは答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます