第36話
月面にできた小さな山、自然に出来たものとは考えられなくなった。
その山の横っ腹にある洞穴、もはや何かの知的生物が意図して作り上げたものであることは疑いの余地がなくなった。
調査団の責任者オーレン博士が洞穴の中の扉を開け、中へ入ると、そこには無数の電子機器が並んでいた。
オーレン博士達には、酸素の時間が限られている。
オーレン博士は、一度、セクター1に戻ると第1管理棟の行政官たちに事の次第を告げ、早々にセクター1からセクター8までの一流の研究者を集めた。
各分野の研究者達、最低2人をセクター1の第2管理棟に呼び寄せ、現地に向かうことになった。
大型のバギーが列を成して洞穴へと向かった。
最初にオーレン達が作った簡易的なドームではなく、もっと長い滞在時間が可能な基地の建設が施行され、大々的に調査が始まった。
まず最初にオーレン達が見つけた部屋は、確かにコンピュータールームであったが、何を調べていたのか?までは分からない。
そこで、電子機器専門のチームが、できるだけ現状の形を残したままでセクター1の研究所に持ち帰ることになった。
それぞれのチームが同じように洞穴内の機器を研究所に持ち帰った。
さらに奥へ進むと、その部屋には、洞穴内で一番大きな機械があった。
その機械を見て研究班全員が驚いた。
まだ動いていたのだ。
そして、その中にいた一人が目を見張る。
天文学を研究し始めたばかりの男だが、その天文学教室の教授に気に入られ洞穴に連れてこられた研究員だ。
「これは、超素粒子変換装置だ」
かくして、天文学研究が専門の研究員は、再び超素粒子変換装置と関わることになった。
今までの機器管理ではなく、再び超素粒子研究者として、リーは天文学と物理学の掛け持ちで研究をすることになった。
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