第30話



 開拓調査団は、小さな山の横に開いた洞穴へと入って行った。

外には数名の隊員と、掘削機などの重機が彼らの帰りを待つことになっている。


 開拓調査団総指揮者のオーレンたち調査団は、ヘッドライトを頼りに進んで行く。


「すぐに突き当たりになると思っていたんだが、意外と長いな」


「それに、下へと緩やかに向かっています。まるで下降階段のようだ」


 オーレンの助手を務めているホルスが答える。


 確かに、まるで地下へ入る通路のようだ、オーレンもそう思う。


 暫く行くと、やっと突き当たりに出会でくわした。


「オーレン教授、やっと突き当たりですね」


「いや、ちょっと待て、この壁、おかしくないか?」


「え? そういえば」


 ホルスが突き当たりの壁をヘッドライトで隅々まで照らすと、


「見ろ、壁が加工されたように平らじゃないか」


「まるで何かの扉のようだ」


「ホルス、外で待機している隊員たちに連絡できるか?」


「やってみます」


 そういうとホルスは無線機のスイッチを入れるが、


「どうも、電波が届かないようですね」


「仕方ない、外まで戻るぞ」


 二人が、洞穴の外まで出ると、隊員たちが出迎えた。

大型の月面バギーに全員乗り込むと、オーレンが中で見た状況を話す。


「洞穴は緩やかに下降、突き当たりの壁は加工されたように平らだった」


「教授、小型の掘削機で穴を開けてみましょうか」


 ホルスが言う。


「いや、一度戻ろう。ただ単に綺麗な壁ができたとは思えん。天然にできていたものだとしても、万が一ということもある」


「もしかしたら、ということですか?」


「分からんが、一度報告して調べ直さないと、他にもこのような現象があったかどうかを検証しなければならない」


「分かりました」


 そう言うとホルスが無線機のスイッチを入れるが、


「おかしいな、繋がりませんよ。洞穴の中の時みたいに、うんともすんとも言いません。まるで反応がない」


「仕方ない。何か無線を妨害するような自然現象があったのかもしれん。元来た道を帰りながら交信できるようになるまで回線を繋いだまま移動しよう」


 オーレンがそう言うと、2台の小型バギーと1台の大型バギーが第1セクターを目指して走り出した。

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