第23話



 リーは黙想の中から、はっと気がつくと目を開ける。


「そうだ、見たんだ」


 彼は一人で声を出すと、あの時の光景を思い出す。


 月面に小さな山が出来ていた。

月面に山があることなど珍しくない。

谷から見れば、その絶壁は山に他ならない。

同じように平地から盛り上がる砂や岩があれば、自ずと山になる。

ごく普通の珍しくもない景色だ。


 更に彼は、思い出した。

その山に洞窟があったのだ。

月面で山の腹部に洞窟ができることは皆無とまでは言わないが、殆ど無い。

一体どこを走っているのだろうか分からなくなり、ナヴィゲーションシステムの画面を見ると、ナヴィゲーションシステムが働いていない。

その時にルーが話しかけてきた。


「どうしたんだい?」


彼は答えた、


「大したことない、道を失ったんだ」


と。

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