第6話
宇宙は暗い。
地上から見る夜空の色が宇宙だ。
遠くから見れば星は光っているように見えるが、それは恒星の放つ光に照らされているだけで実際に光っている星は僅かだ。
例えば、星雲や星座などがそうだ。
恒星を中心にして、星々が輝いて見える。
満天の星の、星と星の間は遠く、近くにある星といえば衛星くらいであろう。
その星と星の間を悠々と進んでいる船がある。
「クロウ船長、奪い取った武器はどうしましょう?」
「地球に帰してやろう」
「地球の基地にですか?」
「おいおい、そんな訳はないだろうが」
若い船員のシラーに副長のウイスが答える。
「じゃ、いったい地球のどこに返すと言うのですか?」
「船長は地球に帰すと言ったが、地球へ行くとは言ってない」
「では何処へですか?」
「木星だよ」
「木星?」
「木星に着陸する訳じゃないがな」
続いてクロウが伝える。
「船の進路を木星にとれ」
「シラー、私たちは木星に向かう。木星第三衛星、ガニメデだ」
クロウは、今度はシラーに向かって言い、その後をウイスが引き継ぐ。
「シラー、俺たちにはいくつかの基地があるのは知っているだろう? ガニメデは俺たちの基地の中では一番地球に近い星なのさ。そこには倉庫があってね、そこで奪った武器を保管しておいて、然るべき時が来たらお返ししましょうって訳さ」
ウイス副長に続けて、さらにクロウがシラーに語りかけるように言う、
「私たちは海賊と呼ばれているが、奪いはしない。奪われたものを奪い返す、それだけだ。速度を光速に変えろ。その後、時空間移動に変換」
艦長が命令を下す。
「了解、速度を光速に、光速に到達次第、時空間移動に変換」
この船の女性操舵師、ダフォーが答える。
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