二階堂あまねのお母さん
二階堂あまねに告白されて1ヶ月たった。
5月のゴールデンウィークの土曜日。
オレは二階堂あまねの家に向かっていた。初めて二階堂あまねの家に行く。
二階堂あまねの家に向かう途中、小便がしたくなり、住宅街の電信柱の裏で隠れるように立ちションした。
清々しい立ちションだった。
はぁ〜と吐息をつくと、
ふと視線を感じた。
首を右後ろに向けると、ポメラニアンを散歩させた中年のおばさんが、こちらを凝視していた。じっと見ていた。アレを。
「あっ、、、」
オレはびっくりした。
「こんにちは〜…」
オレはなぜかあいさつした。
おばさんはひとつ苦笑して、スタスタと去っていった。ポメラニアンが小便の匂いを嗅ごうとこちらに来たが、おばさんがリードをクイッと引っ張った。
その後、オレは途中、スーパーマーケットに寄って、ポテチと缶コーラ2本を買って、二階堂あまねの家に向かった。
二階堂あまねの家はピンクの一軒家だった。派手な家だなとオレは苦笑した。
庭にはさっきのポメラニアンが繋がれていた。
オレはまさかと思った。
ちょ待てよ。
オレは恐る恐るインターホンを押した。
「…は〜い」
「久石達也です」
「は〜い、ちょっと待ってな」
おばさんの声がした。
玄関が開いた。
おばさんではなく、二階堂あまねが白いスウェットで出てきた。
「おう…」
オレは片手を上げた。
「入って〜」
二階堂あまねは玄関から顔を出し言った。
オレは家の中に入った。
「お邪魔しま〜すっ」
二階堂あまねと一緒にリビングルームに入った。
リビングルームでは軍艦マーチがカセットコンボから流れていた。戦前に戻った気分になった。オレはギョッとした。季節は春というのにまだコタツが出ていた。昼のワイドショーがついていた。
コタツにはさっきのポメラニアンを散歩させていたおばさんがいた。
「あまねの母です」
おばさんは片頬を上げて、変な笑い顔を作った。
「あんた、立ちションしとった子やな」
オレの頬に冷や汗が流れた。
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