SIDE B
直人と麻里奈が屋台から離れた後
「はぁー」
と大きなため息をついた。
「お父さんどうしたの?」
「やっぱお金とればよかったなーって」
「なんでそんなこと言うの?」
「だって、本当は儲かってないんだもん」
「そういえば、今日は麻里奈たちが初めてのお客さんだったね」
「甘酒の方はどうなんだ?」
美春はお父さんの屋台の隣で甘酒を売っていた。
「焼きそばと違ってそれなりに売れてるよ」
「そうか」
そう言って、難しそうな顔をする。
「お父さんったらそんな顔してどうしたの?」
「美春に彼氏はいらないな」
「お父さん、麻里奈との会話聞いてたの!?」
「嫌でも聞こえてくるからな」
「さっき聞いてないって言ってたのに・・・」
「美春にはお父さんがいるから彼氏はいらない」
「意味わかんないんだけど」
「でもな・・・」
「どうした?」
「麻里奈ちゃんの彼氏みたいに誠実そうな人だったら許すかもしれないな」
「そうなんだ」
「でも美春に彼氏はいらないな」
「今年こそは彼氏作るって話聞いてたのにそんなこと言わないでよ」
「お父さんはとても悲しいなぁ〜」
このやりとりを道行く人々は冷たい視線で見ていた。
「そんなことばっか言ってるから客が来ないんじゃないの?」
そう言って、美春は屋台に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます